妄想ジャンプロワ






あらすじ:謎の生物(?)を連れ帰ってきた黒服は、ボンボン組にまたもや馬鹿にされたので再び日野家へと潜入するのだった。

「あいつら、今度は呑気にテレビなんか見てやがる。しかもバトルロワイヤルか」
少女が怖がる犬を馬鹿にしているのが見える。
「……あいつらと関わって変な事が起きなかった試しがないが、まさかあれが現実に起こる……なんて事はないよな」
巨大な魚やら巨大な空飛ぶ猫やらに襲われた経験から、つい恐ろしい事を考えてしまう。
銃を没収されている心細さのせいもあるが。
「……ん?」
そんな事を考えているとテレビを見ている犬が微かに光りだしたのが見えた。
「これは、あの時と同じ……!」

瞬間、あたり一面の景色が変わる。
「これから、お前たちには殺し合いをしてもらう」
犬―――リリエンタールは、無意識に周囲の人の心の動きを周りの空間に反映させ、実現させる事ができる。
その能力により黒服が考えてしまった『犬の力で殺し合いに巻き込まれる』という不安を実現させてしまったのだ。
勿論黒服は焦った。
もはや巻き込まれてしまったら何が起こるか分からない。
いつのまに周囲にはたくさんの人がいて、その中にはリリエンタールたちの姿も見える。
彼等には自分達が原因である事は当然理解できていたのだろう、あれこれと騒いでいる。

「説明の邪魔をしないでもらおうか」
そんな声と共にリリエンタールの首輪が爆発し、首が空高く舞って地面へと叩きつけられる。
何が起きたか分からずに固まる少女達。
もちろん自分も同じだった。
異変を起こした本人が死んだらどうなるのか。
まさか一生戻る事はできないのではないか。
そんな考えさえも浮かんできてしまう。
だが声は自分達の事などお構いなしにルールの説明を始めたのだった。

【リリエンタール@賢い犬リリエンタール 死亡】



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