妄想リピーターロワ2話






…………ここ、どこだろう。
目の前がゆがんで、ぐにゃぐにゃして、よくわからない感じ。
でも、なんだか居心地がいいな……海でぷかぷか浮いてるみたい。

わたし、どうしてここにいるんだろう。
確か覚悟くんと別れて、川田くんとヒナちゃんと、
駅に行こうねって言って、それで……

………そっか。わたし死んじゃったんだ。
とつぜん女の人におそわれて……

じゃあここが天国っていうのかな? それならみゆきさんにも会えるかな?
探しに行こう。会いたいな。本郷さんもきっと笑っててくれる。今度こそ料理を食べさせてあげられる。
だから……



―――っ。
ふと、急にふわふわしてた感じがなくなって、足に地面を踏む感覚が伝わってくる。

きょろきょろ見回すと、そこはよくわからない場所で。
すぐ近くで誰かたちが、なんだかすごく大声で叫んでる。

「………それではバトルロワイヤルを開始する!」


またわたしの目の前はまっくらになった。


……………
………


「いたた……なにがあったんだろ」

次に気付いたとき、わたしは大通りの街灯の下にいた。
近くにはデイバッグが1つ。

……あのときと同じだ。
どうして?

おおあわてでデイバッグを調べてみる。
出てきたのは前に持っていたのとはちがう人の名前が書かれてる名簿と……

「これ…川田くんの」

出てきたのは川田くんの……川田くんがだいじにしていたバードコール。

わたしと川田くんを引き寄せてくれた、だいじなもの。

名簿を見ると、そこにはおかしなことがいくつも書かれていた。
川田くんやわたしの名前がある……でも、わたしの名前がどうしてか2回書かれてる。
お姉ちゃんなんて4つくらい同じ名前が並んでいる。
どうしてだろう……



「……………………………づが…ざぁ……」
「…だれ……?」 

考えてると、とつぜん暗いところから苦しそうな声がした。
デイバッグから懐中電灯を出してそこに光を当てたらそこには……

「づがざぁ………ゆる…して……」
「…っ!!?」

そこにいたのはおおきな角を生やしたヘビさん……ドラゴンさんなのかな?
こなちゃんならそのあたりにくわしいと思うんだけど……

でも、わたしがびっくりしたのはそれだけじゃない。
ドラゴンさんは荒い息をしていて、あっちこっちにひどい傷がある。
動く元気もないみたい……

「くらい…よ……いた…い……よ……」

よく見るとドラゴンさんの片方の目はつぶれてしまっていて、つい目をそらしたくなる。
でも……
どうしてかわからないけど、わたしの名前を呼ぶこの子をほっとけなかった。

「ねえ、どうしたの!?」
「づが……ざ……あのね……づがざに言わ…れて…かがみを…探しにぎたんだげど……
 かがみ、が……みづがらなぐで……あやまれながだ………ごべん………ごべんばざい……」
「どうしてあやまるの? あなたななにも悪くないよ!?」
「………ぼん…ど……? まだ、ゴマヂャン、で…やさじぐ……いっでぐ…れる……?」
「ゴマチャン? うん、だいじょうぶだよ!
 こんなにボロボロになるまでがんばったんだから、あやまる必要なんてもうないんだよ!」

この子がどうしてあやまってるのか、お姉ちゃんになにがあったのか、わたしにはさっぱりわからない。
でも、この子がどうしてもかわいそうで……わたしは必死でこの子を抱きしめた。

「だいじょぶ……だから……っ!」
「……えへへ……やさしい………つかさだ…あ……」

バダァン……

「ゴマ…チャン?」

ゴマチャンはそれだけ言うとばったり倒れて……動かなくなった。

「ひどい……ひどいよ。ゴマチャンがなにしたって…」
「ひどいのは、あなただよ?」
「えっ?」

うしろから聞こえてきた、聞きなれた声。
でもそれはまったく遠いところに立って聞こえた。

「クス…クス。その子はね。ひとごろしなんだよ? ゆるされちゃいけないんだよ?」
「……っ! あなた…」
「いーけないんだあいけないんだあ。そんなのゆるすひと、殺されてもしかたないよねえ?
 ねえ」


「「わたし」」


「あっ……!」

いた……あたまが痛い…!
どうして? 急に頭痛なんて…………………――っ!!?

「そんな……そんなことって」
「クス…ッ。へえ〜。そうなんだ。
 わたしったら、ひとごろしのひとと……ふうん」

頭痛のとき、ぜんぶ分かった。
あのわたしはちがう世界の、でも同じわたしで……あのわたしはお姉ちゃんを……

「そんなのちがうもん。わたしはいい子だもん。だから、もう1人のわたしなんて」

目の前でわたしが銃をわたしに向ける。
わたしは、わたしのあの笑顔を知らない。

「いらない」


わたしはあのとき、2回死んじゃった。
1回は本郷が死んじゃったとき……2回目は川田くんの目の前で……
だから、もういいかなって思った。
でも……


でも……
わたし、死にたくない。
ここがどこかわからないけど、ここにいるならもう一度川田くんに会いたい……っ!
だから……………

わたし、生きたい。




【ゴマモン@ニコロワ(デジモンアドベンチャー) 死亡】

【残り??人】


【C-4 大通り/一日目・深夜】

【柊つかさ@漫画ロワ】
[状態] 健康
[装備] なし
[道具] 支給品一式、バードコール@漫画ロワ(バトルロワイヤル)、不明支給品×2
[思考・状況]
基本:ゲームには絶対に乗らない
1:目の前のわたしを説得する。
2:川田くんに会いに行く。
3:なんでお姉ちゃんがいっぱいいるんだろう……。
[備考]
※死亡後からの参戦です。
※柊つかさ@ニコロワと記憶を共有しました。
※とりあえず川田と柊かがみの存在を確認しました。
 あまり名簿に目を通せてません。


【柊つかさ@ニコロワ】
[状態] 精神的に不安定
[装備] なし
[道具] 支給品一式、ニューナンブ(残弾0発)@ニコロワ(現実)不明、支給品×2
[思考・状況]
第一行動方針:目の前の"わたし"を許さない
第二行動方針:どれでもいいのでお姉ちゃんかこなちゃんに会いたい。
第三行動方針:敵は殺す
第四行動方針:笑顔が取れないよ?
※ニコロワ第160話「硫黄島からの手紙」からの参戦です。
※柊つかさ@漫画ロワと記憶を共有しました。



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