妄想巨大ロボもの以外の作品でスパロワ1話






「このターンXすごいよ!さすが∀のお兄さん!…って、∀ってなんだっけ?」

コクピットの中で、泉こなたは歓喜する。
彼女が乗る奇妙なデザインのロボットの名は、ターンX。
とある世界の月面で発掘された、多くの謎を秘めた強力なモビルスーツ。
だが、こなたはそんなことは知らない。
いや、知っていたのかもしれないが、ここでは知らなかったことにされている。
何はともあれ、今の彼女は突然見知らぬところに連れてこられた混乱と、
フィクションの世界でしか存在できないはずの巨大ロボットを目の当たりにした興奮で冷静さを失っていた。
それ故に、レーダーに反応があることに気づくのが遅れていた。

「うおっ!なんかこっち来る!えーと…。」

目視できる距離になってようやくそれに気づいたこなたは、慌ててスピーカーのスイッチを入れる。

「そこの白い…っていうか、白と緑のロボットさーん。止まってー。このままじゃぶつかっちゃうよー。」

近づいてくるロボットに対して呼びかけるこなた。しかし、反応は全くない。
そのまま突っ込んでくるどころか、攻撃までしかけてくる。

「ちょ、腕が伸び…。うああああああ!!」

まともに攻撃をくらい、吹き飛ぶターンX。幸い機体のダメージは軽微だが、中のこなたは衝撃をもろに受ける。

「ちょっと、危ないじゃないのさー!ロボットに乗ってたって、結構痛いんだよ?」

頬をふくらませて抗議するこなた。しかし、相手からの返答は返ってこない。

(ガキか…。)

ターンXに相対するロボットに乗る男、三影英介は心の中で呟く。
相手が子供だろうと、三影にとって手加減する理由にはならない。
彼の目的はこの下らぬ遊戯をとっとと終わらせ、彼が所属する組織・BADANに帰還すること。
そのためには、女子供であってもためらいなく殺す。
それが三影という男だ。

(しかし、とりあえずレーダーに引っかかったやつのところに来てみたが…。
こいつもハズレか…。)

三影に支給された「シェンロンガンダム」という名の機体は、接近戦に特化した装備になっていた。
三影とて、接近戦が苦手なわけではない。
しかし全身に装備された銃器を利用した戦闘に慣れている彼にとって、飛び道具がないと勝手が違うのもまた事実だ。
そのため銃器を装備したロボットを見つけ、その銃器かロボットそのものを奪おうと思っていたのだが…。
目の前のロボットも、パッと見た限りでは飛び道具の類は持っていそうにない。

(まあいい。とりあえず頭数を減らしておくか。)

こなたの呼びかけに無反応なまま、三影はビームグレイブを取り出して構える。
それを見て、混乱していたこなたもさすがに相手が戦う気満々であることを理解する。

(アニメじゃない…んだよね…。あのロボットを倒したら、パイロットの人は死んじゃうのかな…。
怖いけど…。私だってまだ死にたくない!)

こなたはターンXの両手を前に出し、半身の構えをとらせる。
こなたにとって戦いの場で頼れるものは、幼い頃に学んだ武術の知識のみだ。

秘密組織の一員と、ただのオタク女子高生。その二人が、巨大ロボットに乗って戦う。
シュールなようでいて、しかし笑い事ではない戦いが、ここに始まろうとしていた。


【泉こなた@らき☆すた】
【状態】若干の混乱と恐怖
【機体】ターンX@∀ガンダム
【思考】
基本:死にたくない。それ以上のことは、まだ考えてない。
1:襲ってきたロボットをどうにかする。


【三影英介@仮面ライダーSPIRITS】
【状態】健康
【機体】シェンロンガンダム@新機動戦記ガンダムW
【思考】
基本:優勝者となり、元の世界に帰還。
1:目の前のロボットを破壊。
2:射撃武器か、それを装備した機体そのものを入手する。



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