パロロワ学園・ジンクス組ロワ
気がつくと、俺は図書室にいた。
主催の不思議パワーで教室からここまで飛ばされたらしい。
まあこんなことには慣れているから今更驚かないが……
「今更また殺し合いをしろ、なんて言われてもなあ……」
俺の傍らにはデイバッグが置かれ、俺の首には首輪が嵌められている。
あの暢気な学校生活のおかげでほとんど忘れかけていた、忌まわしい記憶が蘇る。
「でも、元の世界に戻れるというんなら……」
ことの発端は今日の朝のHRだ。
いつものようにハクオロ先生が教室に入ってきて出席を取ろうとした途端、教室に備え付けのスピーカーが突然放送を始めた。
まるで機械を使って変えているかのような不気味な声だった。
その声は自分がこの学校の校長だと名乗ると、これから俺達ジンクス組の生徒を対象とした殺し合いの『実習』を行うと告げた。
男か女かも判然としない声で校長が説明したところによると、今回のルールは以下のようなものだった。
『この学校の中で殺し合いを行う。今までは学校内で死んでも生き返れたが、今回は一度死ぬと生き返れない』
『同一人物で何人もいる者は同一人物同士でチームを組み、チームメンバー以外が全員死ねば優勝となる』
『優勝した個人もしくはチームは何でも好きな願いを叶えてもらえる。元の世界に戻ることも出来る』
この「元の世界」とは、俺達がこの学校に来る前に参加させられていた殺し合いの中ではない。
正真正銘俺達が元の生活をしていた世界のことだという。
これらのことを説明したあと、校長らしい声は淡々とこう続けた。
「では早速だが、見せしめを選ぶとしよう」
俺はそれを聞いて戦慄した。
このクラスの中でもっとも見せしめに選ばれる可能性が高いのは?……間違いない、『即死の』という通り名を持つこの俺だ。
「ひ、ひいいいっ!!」
思わず俺は椅子を蹴って立ち上がった。みんなが驚いた顔で俺を見るが俺はそれどころでは無かった。
「た、頼む、俺だけは勘弁してくれ!! またこんな序盤でズガン死なんてあんまりだ!!」
聞こえるわけもないとわかっていながら命乞いをする。足が勝手に後ずさっていた。
そんな俺の訴えなど意にも介さないかのように校長が宣告した。
「我々に楯突こうとしたものは、例外なくこうなる……と、いうやつだ」
そういい終わるのと寸分違わぬタイミングで、教室の一番後ろに座っていた同級生の首輪が爆発した。
耳を劈くような音に振り向くと、彼の頭が血溜りの中に転がり落ちるところだった。
みんなは口々に
「やっぱり『見せしめの』富竹が見せしめになったか……」
「まあ、あいつが一番適任だからなあ、やっぱ」
などと言う中、力が抜けた俺は床の上にへたりこんでいた。
そして、今に到るというわけだ。
(こんな学校から出て、元の世界に戻れる……か)
正直そんなことは二度と無理だろうと思っていた。校長が言ったことが本当ならこれが最後のチャンスになるだろう。
しかしそんなことのために、今までクラスメイトとして仲良くしてきたみんなを殺せるのか?
こうしている間にも、今までみんなにトラクターで轢かれて殺されたこととか火で焼かれて殺されたこととかが思い出されてくる。
他の場所に飛ばされたらしい、別の世界の俺は今何を考えているのだろう?
(考えても始まらないか。まずは別の俺と合流しよう)
折角見せしめになるのを免れたのだ。いつものようにあっけなく死なないように慎重に動こう。
(そういえば、校長はこんなことも言ってたな)
『支給品袋の中には、もしかしたら君達にとって大切な存在である誰かが入っているかもしれない。その者と手を組むも良し、利用するも良しだろう』
そっと支給品袋の口を開けてみる。すると中から出てきたのは……
「ラッシャイ!!」
「おお、お前は俺がニビジムで育てていたイシツブテじゃないか!! また会えるなんて……」
「ラッシャイ!!」
「ん?」
俺はイシツブテの異変に気がついた。
「イシツブテが、光っ―――」
【タケシ@任天堂ロワ 死亡確認】
残り??人
※イシツブテの「じばく」によって二階の図書室が吹っ飛びました
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