それも私だ!いや我輩だ!
乱立するビルを背に、仮面をつけた男が思案に耽っている。
白を基調にした厚い布地の衣服に、頭部全面を覆う仮面。
明らかに場違いな格好をした彼の名は、ユーゼス=ゴッツォ。
レジセイアが主催である殺し合いの場から、AI1を覚醒させ主催者の牙城に乗り込んだはずの男である。
だが、彼の目論見は失敗に終わった。
強引な次元干渉による世界の反発か、はたまたレジセイアの賭けた保険か。
ユーゼスは気がつけば、先ほどまで居た世界とは別の世界で、またしても殺し合いに参加させられる羽目となったのである。
「そこまでして、私が神を超えることを阻むのか、世界よ」
超神へと至る手段――ゼストは既にこの手に無い。
気がついた時には彼の手から零れていた。
それでもユーゼスは諦めない。
デイパックへと手を伸ばす。
何も全てが悪く転んだとは限らない。
今回の世界でも前の世界とは別種の超技術や超存在のデータを得れるかもしれないのだ。
この程度の事態で絶望するには、因果律の輪から外れ、永遠の住人となたった彼は捻じれ摩耗しすぎていた。
ただ彼を突き動かすのは神を超えた神へと至ろうとする執着のみ。
少なくとも、彼自身はそう信じている。
そしてその不屈の精神に神の心も動かされたのか、早くも彼に一つの幸運をもたらす。
「ふふふふ、はははははは!運さえ司る存在、それも私だ!!」
自らに支給された物を確認し、ユーゼスは笑う。
いける、と。
主催者が何のつもりかは知らないが、単純戦力としても、脱出手段としても運用可能な力は既に我が手中にあると。
とはいえ油断はしない。
まだ、ピースは圧倒的に足りない。
ここは何時ものように自らの足となる有能な手駒を得るべきだと。
ユーゼスはその支給品を一時封印し、他の参加者と接触しようと歩を進め、次の瞬間、
「受けよ!我輩の、愛と、努力と、友情な必殺技!ドクタァァァァブレイクッッッ!!」
「っな!?!?!?」
ショベルカーに激突された。
突如殺し合いの舞台に巻き込まれたヨッミー。
名簿を確認した彼の心にまず到来した感情は何か?
殺し合いを強要されたことに対する怒りか?
我が身可愛さのあまりに芽吹いた他者への疑心暗鬼か?
空気化することへの恐怖か?
リピーターじゃねえ!という理不尽への嘆きか?
奉仕対象への狂える愛か?
否。
否否否否、断じて、否!!
「書き手ロワにすら出ていない我輩がミニリピーターロワに登場させられるとは!
何たる超展開!!許せぬ、許せぬのである!!全ての超展開はこのダクター・ヨッミーの手によるべきものなのであるっ!
そう、我輩こそが超展開の王!!世紀の天才!!一億年に一度と呼ばれた天才、ドクタァァァァァ・ヨッミィイイイーーー!!
む?よく考えたら一億年では世紀どころでないのであるっ!?まずい、まずいであるぞ!?NO−−−−−−−!!」
書き手ロワ三本柱が最後の一人、ヨッミー。
やることなすこと無茶苦茶な彼は、お株を奪われてしまったことがとてつもなく悔しかったのである!!
ちなみに、彼。
本来はこんな自己主張する性格でも口調でもない、と思う。ということにしたい。
せっかくだから書き手ロワ書き手らしく、自分が書いたことのあるキャラになり切ってみようと思ってのことである。
「この我輩に屈辱を味あわせるとは! 許さん!許さんであるぞ主催者よ!
もはや百倍返しでは許さん!この屈辱は万倍!万倍返しなのであーるっ!
さらには+−で利子が付く予定。というよりどうしてくれるであるか!
書き手ロワは完結間近だというのに、我輩にこんなところで時間を使わせるとは!
オラオラ、こちとらボランティアじゃねぇんだあ!!」
文句を垂れ流しつつがさごそとデイパックを漁るヨッミー。
まさか自分が書いたウェストのように楽器やらオタクシャツやらばかりじゃないだろうなあ実はびくびく心配してたり。
無駄に騒がしいのもその恐怖を誤魔化すためだったりする。
しかし、神は彼を見捨てはしなかった!!
「こ、これはっ!」
取り出したるは雄々しい黄色の巨体。
無骨なフォルム、圧倒的な大きさ、唸る鋼鉄の爪。
例え女子高生であろうと操縦できるお手軽重機!
アムロ名雪のパワーショベル、またの名をけろぴー!
「ぬはははははははははははははははっ!天才とは天に選ばれた才能の持ち主!
故に我輩には神の加護が付いているのである!
圧倒的ではないか、我が軍はあ!!なのであるっ!!
これ以上の支給品を得た人間なぞそうはいまい!行くのであるっ、スーパーヨッミーロボ28号!!アイム・ロッケンロール!」
いや、どう見てもロボじゃないだろっ!!と突っ込んでくれる良識人は傍らにおらず、
むしろ調子に乗ってショベルを操縦するヨッミー自ら突っ込んでいく。
最高にハイな彼には前なんか見えちゃあいない。
一人だとは思えないテンションで騒いでいるため己が声以外何も聞こえやしない。
だから仮面の男の存在にも直前までは気付かずに、ヨッミーは、ユーゼスを、圧殺した。
「受けよ!我輩の、愛と、努力と、友情な必殺技!ドクタァァァァブレイクッッッ!!」
「っな!?!?!?」
なんてことはなく、恣意的にひき殺したのである。
ってか偶然で必殺技の名前は叫ばない、はず。
彼はうっかり予約被りで没ったとはいえ、スパロワでも書いたことがる人間だ。
もちろんユーゼスの非道さはこの場に呼び出された誰よりも知っていた。
故に、不意打ち。必殺のドクターブレイク!!
今ここに、なんともあれな死因によってユーゼスの長き旅路は終わりを
「まさか、これほども早く切り札を使うはめになろうとはな」
迎えはしなかった。
彼の騎乗する蒼き魔神、グランゾンの手によって!!
「グランゾンっ!?うおおおっ?ヤバイであるかな?」
いかなけろぴーとはいえ、相手がグランゾンでは分が悪い、悪すぎる!
今は何とか振り下ろしたクローラを受け止めることにユーゼスが集中しているからこそ攻撃を受けずに済んでいるが、
そのような均衡、特異点の力の前では一瞬で瓦解させられる!!
「湾曲フィールド、展開!!私にたてついた報いを受けろ!」
「うを"を"を"を"を"……ッ」
グランゾンに正面から抱え込まれていたパワーショベルが、展開された重力障壁に吹き飛ばされる。
キュララララと、どんな地形さえ踏破した万能キャタピラをもって無事に着地する。
が、どうもパイロットは無事では無かったらしく、地面激突時の衝撃でしこたま頭を打ったのか、鼻血だくだくだ。
ユーゼスは、そんなヨッミーが痛みにのたうちまわる暇すら与えない。
せっかく裏から手を回そうとしていたのに、否応なく目立つ真似をさせられた彼は、
溜まりに溜まったうっぷんをヨッミーに向け、開放する。
「お前には過ぎた技だが、受けるがいい。つがえよ……そして放て、運命の矢よ。
ブラックホォォォオオオオオオル、クラスタァァァアアアアア!!」
蒼き魔神の胸部装甲が開き、巨大な重力球が形成される。
ブラックホールクラスター。
名前のとおりブラックホールを相手にぶつけ消滅させるグランゾン最強の一撃!!
たかがショベルカー如き、塵も残るまい。
そのショベルカーに乗っていたのが、ただの常識溢れる書き手であったのなら!
「我輩の超展開を見くびるなであるっ、ユーゼス・ゴッツォ!!」
「何!?ショベルカーが、光っ――――?」
ヨッミーが咆哮を上げ、ショベルカーが光を放つ。
あまりの眩しさに思わず眼を閉じたユーゼスは、直後後悔することになる。
「パワーニーキック!!」
「なっ、っぐ!」
瞼を開けたユーゼスを衝撃が襲う!!
大技の発射態勢であった為碌な防御もできず、先ほどとは逆に吹き飛ばされる。
巨大な左足で蹴られたのだと理解するのに数秒、実行犯が目に入るのに更に数秒を要した。
グランゾンのモニターが映したのは一体の機神の姿。
頭部には炎を模した角飾りを。右手には全てを砕くショベルアーム。背中に輝くは翼を広げた鳳を。
己が存在を誇示し堂々と大地に立つ、巨大な人型のロボット。
全体的にやや黄ばみがかっているが、幾つもの並行世界を渡り歩いたユーゼスは、知っていた。
「まさか!」
「ふはははははは!そう!これが我輩の新作、スーパーヨッミー無敵ロボ28号虎DX――通称っ」
ユーゼスの驚愕に応えるべく、口上を述べる声は、言うまでもなくヨッミーのもの。
もったいぶるかのように一度タメを置き、彼は、己がデウス・エクス・マキナの名を声高らかに宣言する!!
「剛力変形、パワーダクオン!!」
まんまパチモンです、ありがとうございました。
「馬鹿なっ!?宇宙警察機構が介入してきたとでも言うのか!」
「っは、馬鹿は貴様であるぞ、ユーゼス!!
所詮、単なるラスボスに過ぎない仮面の貴様がこの世紀の天才たる我輩に嫉妬するのはよぅぅく解るが、
だからと言って、現実から眼を逸らすのは良くないのであるっ!
貴様も知ってのとおりさっきまでは確かにこのショベルはただのとは言い難いが、ショベルであったのであるっ!!
しかあ〜し!我輩の手と支給品『技術手袋』の手に掛かれば、けろぴーをファイヤーショベルに改造することなぞ、
朝飯前を通り越して夜食前に可能なのである!
ぬ?なんとおおーー、あまりにも速すぎて前日に戻ってしまったのである!
我輩一体何時の間にタイムマシーンを完成させたのであるかあ!?
嗚呼、恐ろしい、我ながらなんて恐ろしい才能であるかあああ!
って、おわ、あべしっ、タイムパラドックスが発生して世界が我輩を消そうとしているのである。
ぬおおおおお……だ、誰か……誰か、助け……たす……もはや、ここまでか……総員退艦……我輩は艦と運命を共にする……ガク」
長すぎるセリフに込められた意味を理解したユーゼスは茫然とする。
つまり、あれか?この目の前のキ○ガイは自分一人の手でショベルカーをファイヤーショベルに改造しただと?
そう。ヨッミーはなり切ったウェストの科学力、技術手袋、実機を改造したものであるという原作補正。
それら全てをフルに使ってユーゼスと相対した僅か数分でファイヤーショベルを完成させたのだ。
あまつさえ、融合合体を省略し、剛力合体すら成し遂げていることに、ユーゼスといえど驚きを禁じ得ない。
「私やイングラムのような存在でも、ブレイブ星人でもない、ただの人間にそんなことが出来るはずが無いっ!!
いや、それ以前に」
「そんな道理、俺の超展開でこじ開けるっ!!俺が、ダグファオヤーだ!!これが、青春だああ!!」
「いいだろう、その超展開をも制するもの、それも私だ!!」
トライダグオンに随い、なりきりをウェストから炎に移行するヨッミー。
別世界の更には模造品とはいえ、宇宙警察に縁のある機体と対峙することとなったユーゼス。
今ここに、自重しない主催者兼参加者と、自重しない書き手による、自重しない登場話を経ての、自重しない戦いの火蓋が切って落とされた。
「行くぞ、ユーゼスっ!!」
「来い、紛い者っ!!」
尚、
「絶望したー!気付いたらロボットバトルに巻き込まれている現状に絶望したー!!」
互いに目の前の相手しか見えていない二人は、近くにもう一人参加者がいることに、これっぽっちも気付いていなかった。
【ユーゼス=ゴッツォ @二次スパ 搭乗機体:グランゾン
パイロット状況:良好(宇宙警察が憎らしいのも私だ)
機体状況:良好
装備:
道具:支給品一式、不明支給品×1〜2
第一行動方針:パワーダクオンを倒す。
第二行動方針:首輪の解析
第三行動方針:グランゾンの力を脱出に利用できないかを考える
第四行動方針:手駒が欲しいが目立ちすぎたか?
最終行動方針:様々な超技術を奪い神への階段を昇る】
※二次スパの140話、『穴が空く』修正前版からの参戦です。
【ヨッミー @クロススレ 搭乗機体:パワーダクオン
パイロット状況:良好(これが青春だ!)
機体状況:良好
装備:技術手袋10/20(パワーダクオンへ改造時に使用)
道具:支給品一式、不明支給品×1
第一行動方針:ユーゼスを倒す。
第二行動方針:首輪の解析
第三行動方針:どっかにジャンボ機や巨大な剣・銃はねえか?
第四行動方針:主催者に真の超展開を見せつける
第五行動方針:空気王とネームレスが心配。……た、ただ書き手2を完結させたいだけであるからなっ!
最終行動方針:書き手ロワ2を完結させる為にも脱出したい】
※書き手ロワ2書き手としてなりきり能力が使えます。
※属性:超展開によりかなりのそれっぽい無茶は押し通せます。
※パワーダクオンは、ライオソードや無限砲使用不可以外は、パワーダグオンと同じ性能です。
デモンペインカラーであり、本物に似ていますが黄ばんだパチモン臭い外見です。
【糸色望 @アニロワ2 登場機体:なし】
【状態】:健康
【装備】:???
【道具】:支給品一式、不明支給品×???
【思考】
1:絶望したー!
以下:???
※後続の方に色々お任せします。
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