戦場の修理屋






倉庫の中に一機の巨人が鎮座している。
手に巨大なレンチを持つ、獅子の顔を持った機体。
修理屋ピーター・サービス有する「どんなメカでも修理するロボ」・ガンレオン。

「駆動系も操縦系もエゥーゴや連邦の機体じゃないとは違う……ティターンズの新型かぁ?」

そのコクピットからひょっこりと顔を出した、とくにこれという特徴もない平凡な顔立ちの男。
名をアストナージ・メドッソ。エゥーゴ、アーガマ所属の整備士である。

「パワーはすごいが、なんだこの武装? 全部工具じゃないか。これじゃ戦闘なんてできないな……」

修理用メカであるガンレオンに搭載されているのは、当然といえば当然だがすべて修理用の工具である。
スパナや釘打ち機、チェーンソーに巨大レンチ。どんなメカでも修理するとの看板は伊達ではない。
これらは本体のパワーが強力なので戦闘に使えないこともないが、それはパイロットの腕あってこそだ。
優れたメカニックであってもパイロットではないアストナージでは、修理ならともかく戦闘で工具を活用することは難しいだろう。

「ふう。とりあえずそうだな、誰かと合流しなきゃな。カミーユやジュドーがいれば……いや、子どもはこんなところにいない方がいいか」

ただでさえ大人が押しつけた戦争に子どもを駆り出しているのだ。
殺し合いをしろと言う場で、あの生意気だが優しい子どもたちが命を散らすところなど見たくはない。

「クワトロ大尉かエマ中尉か……とりあえず、知ってる人に会えたらいいんだがな」

マップデータを開き、どこを目指すか思案する。
現在地はA-8のガレージ。
簡単な整備や補給はできるものの、本格的な修理を行おうとすれば資材が足りない。
目指すとすれば資材のあるだろう基地か研究所だ。
戦闘で損傷を負えば、それを修理できる技能を持つ者は誰にとっても貴重だろう。
できれば戦いに積極的でない者を仲間に引き入れ、拠点に立てこもる。
そうして志を同じくする者を集めれば、きっとこの戦いを終結させられるはずだ。

「一人で行動するのは危ないな。しばらくはこの辺で、仲間を探すか」

この辺りはビルや住宅が密集した市街地だ。見晴らしがいいとすれば、一つ上のエリアの高層ビルだろう。
目的地を決めて、獅子と整備士はややぎこちない動きで足を踏み出した。

【一日目 12:20】
【アストナージ・メドッソ/ガンレオン】
【パイロット状態】 良好
【機体状態】 良好
【現在位置】 A-8
【思考・状況】
1:高層ビルに向かい周囲を監視する
2:仲間ができたら基地か研究所を確保に向かう
【備考】
・修理装置を装備(単独では応急処置程度の修理しか不可能。部位欠損などは直せない)。



【アストナージ・メドッソ@機動戦士ZZガンダム】
Z・ZZ・逆襲のシャア、三つのシリーズに登場する名脇役。
原作では優秀な整備士であるというぐらいだが、スパロボシリーズでは彼が加入することにより改造段階が跳ね上がるなど自軍の中でも最重要人物と言っていい。
モビルスーツも操縦できるが、動かせるだけというようで戦闘ではまったく敵に対抗できなかった。

【ガンレオン@スーパーロボット大戦Z】
修理屋ピーター・サービスが所有する大型ロボ。
全身にロボサイズの工具を装備しており、機動兵器から戦艦まであらゆるメカを修理する。
コクピットは二人乗りで(操縦は一人でも可能)、簡素な居住施設も持つため、修理メカであると同時にピーター・サービスの家でもある。
ガンレオン自体に意思があるらしく、本当の能力は封印されている。



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