絶対強者
悪くない。
そう、悪くはない。 最後の一人になるまで殺し合うこの馬鹿げたゲームも、与えられたこの機体も、悪くはない。
むしろ、自分にとっては好都合であり、己の“強さ”を証明するには最適の形。
愛機であるACとは違い、それなりに広いコックピットの中で、“自称”ドミナントのエヴァンジェはニヤリ。と笑みを浮かべた。
思えば、状況はあの時に似ている。
ジャック・O率いるバーテックスがアライアンスに宣戦布告した、あの時と。
「フフ……あの時は証明出来なかったが…今回は必ず、証明しよう。私が“ドミナント”である事を。
私が最強である事をな」
少し腹立たしいが、お膳立てはされている。
なに、他の参加者を全て叩き潰し、“最強”を証明した後に主催者も叩き潰せば良い。
それが出来る程の“力”はこの手中にあるのだから。
──
スラスターであると同時に大型のジェネレータも兼ねるのは、背部に装備された6基の翼状のウィスプ。
空間を歪めるベクタートラップによる攻撃の反射と屈折、機体そのものをベクタートラップに収容してのステルス行動。
ウーレンベック・カタパルトの応用による亜光速移動能力・疑似的だが行える瞬間移動“ゼロシフト”
武装は電磁式の銛“ウアスロッド”
曲がるように進む“V.G.カノン”
2種類の追尾性能を持つ“ハウンドスピア”
武装、機体共に申し分はない。
──
市街地を駆けるのは、エジプト神話における冥界の神を模した現行最強のオービタルフレームの片割れ、アヌビス。
漆黒の装甲を彩る赤いエネルギーラインは正に強大な力をその身に満たす血管か。
サポートAIであり、独立型戦闘支援ユニットの“DELPHI”は無言のまま、新たなフレームランナーの言葉を聞く。
「さぁ、始めようか。私が“最強”である事を証明する戦いを!」
それは、自信に満ち溢れ、並大抵の事では揺らぐ事のない強い意思。
【1日目/12:10】
【エヴァンジェ/アーマードコアLR】
【パイロット状態】 健康
【機体状態】
良好
【現在位置】
G-7
【思考・状況】
1:まずは他の参加者を探し、見つけ次第戦闘を仕掛ける。
2:戦闘中、ある程度不利な状況になれば“一旦”退く。
3:最終目標は参加者全員を打ち負かして優勝し、己が“最強”である事を証明する。
【備考】
・自身の力を過信している為、足下を掬われる可能性があり。
・バーストショットの威力は半分以下に抑えられている。(ガレージでリミット解除可)
・ゼロシフトの連続使用は不可。
・ベクタートラップは半日に一度だけ使用可。※使用不使用に関係無く使用回数は半日毎にリセット。
【エヴァンジェ/アライアンス戦術部隊の司令官で、強化人間・男性。元アーク所属のレイヴンでジャック・Oとは因縁がある。自らを『ドミナント』であると自負している。エドからは「力は確かにあるが、それよりも過度に自己顕示欲が強い」と言われている。】
【アヌビス (ANUBIS)】
Z.O.E、Dolores,i、ANUBISに登場。ランナーはノウマン。サポートAIとして独立型戦闘支援ユニット「DELPHI(デルフィ)」を搭載。
木星コロニー・アンティリアにおいて開発された新型OF。ジェフティと同じくリコア・ハーディマン博士が設計し、その腹心達により開発。ジェフティと双子の機体であり、2機が近づくと共鳴反応が発生する。
ジェフティ同様、軍事要塞アーマーンを起動させるためのキーとしての役割を兼ねており、擬似的な瞬間移動機能であるゼロシフトを搭載。 背部に装備された6基の翼状のウィスプは、スラスターであると同時に大型のジェネレータも兼ねている。
空間を歪めるベクタートラップによる攻撃の反射と屈折、機体そのものをベクタートラップに収容してのステルス行動、
ウーレンベック・カタパルトの応用による亜光速移動能力「ゼロシフト」も備え、擬似的な瞬間移動も可能。バーストアタックによる攻撃は、火星表面に宇宙から確認できるほど巨大な穴を穿つ威力を持つ。
武装は電磁式の銛「ウアスロッド」「V.G.カノン」2種類の追尾性能を持つバーストショット「ハウンドスピア」。
Z.O.Eシリーズを通して最強のOFの一つであり、ジェフティと並んで「イレギュラーオービタルフレーム」とも分類される。
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