武士道と騎士が交差するとき、物語は始まる
鋼鉄が咆哮する。
地を蹴り、疾駆する機械の巨人が右腕を振りかぶる。その腕の先は鈍く光る鋼の杭が炸裂の瞬間を待っている。
目指す先、視線の先――「彼」が愛して止まない、愛しい宿敵の姿。
奇襲など望むところではない。機体を隠すことなどせず、一直線に迫る。
モニターの中で敵機が気付いた。だがヤツは退かない。どころか両の手に剣を構え、迎撃する構え。
ニヤリと唇が弧を描く――そうだ、それでいい。
理由など関係ない。己がここにいて、奴がそこにいた。ただそれだけで十分。
薄紺色の装甲に陽の光が照り返し、煌めく。影すら追いつけない、そんなスピードで突き進む。
そう――。
「何という僥倖! 異郷の地にて早々にガンダムと相まみえるとは!」
この男、ミスター・ブシドーに取って、目前の「ガンダム」は存在しているただそれだけで打ち倒すべき敵である!
「やはり我らは運命の赤い糸で結ばれている! そうは思わないか、少年!」
歓喜とともに光刃を思い人へ――かつて追い求めそして討ち果たしたはずのガンダムへと叩きつける。
ガンダムもすかさず抜刀し、ブシドーの剣閃に合わせるように剣を回し、受け流した。
いなされたと気づいた時にはブシドーのAC――コーラルスカイはすでに後退していた。もとより初手で倒せるなどとは思っていない。
「いい反応だ……錆ついてはいないようだな、少年!」
回線をオープンにして、高らかに叫んだブシドー。
状況は理解していた。地球連邦独立治安維持部隊アロウズの精鋭たる己が、気がつけば見知らぬ地に放り出され、戦いを強要されている。
アロウズの敵性組織たるソレスタルビーイングの仕業……ではあるまい。戦争根絶を掲げる彼らの意志とあまりにもかけ離れているし、そもそもこんな大規模な作戦が行えるほどの力もないはずだ。
であれば、アロウズでもソレスタルビーイングでもない第三の組織の仕業。
ここは早急に身の安全を確保し、アロウズ司令部との連絡を取るべきところだ――アロウズの、「普通の隊員であったなら」。
しかし彼は違う。ライセンサー――作戦の立案権や新型の機体の優先受領権を持ち、果ては作戦に参加するかどうかも本人の判断に委ねられる特別免許の持ち主。
謎の男達に自由を奪われ、気がついたときには愛機と引き離されこの地にいた。
偶然か、必然か――とりあえず身を隠そうと市街地を目指し動き出してすぐ、ガンダムの姿を発見する。
ワンマンアーミーたるブシドーがガンダムと遭遇したこの場にて選んだ道は言うまでもない。
全身に漲る戦意が機体へと伝わっていく。
愛機マスラオでないのが不満ではある。が、この機体はどちらかといえば確実にブシドー向きの機体ではあった。
アーマード・コア――通称AC。モビルスーツとは違う、全く新しい機動兵器。
名をコーラルスカイ、珊瑚色の空。かつて初めてこのガンダムと剣を交えたときの空を思い出す。
右腕に射突型のブレード、左腕には高出力のレーザーブレード。武装はそれだけだ。
背面に二連のレーダーを備え、コア内部にECM装置を内蔵しているが、銃器や砲が一切ないという極端さ。
正直なところどこの組織がこんなものを開発していたのか気にならなくはない。しかし、数分機体を動かすうちにそんな雑念は吹き飛んだ。
(……私好みだ! 空を往く者には縁起の良い名前でもある!)
と、内心かなりの高評価をブシドーは付けている。
もとより彼は武装に頼って戦うタイプではない。
格段に性能の劣るフラッグでガンダムを翻弄し続けたように、彼の真骨頂は無茶ともいえる機体制御と精緻な剣術にある。
機動性には文句がない。軽量でブシドーの反応によく追従するうえ、増設されたターンブースタで抜群の旋回性を得ている。
二基のレーダーで周囲の状況は淀みなく明確に把握できる。これのおかげでガンダムに気づかれ、逃げられる前に早く捕捉できたのだ。
残るはコア内部に増設されたECM。しかしこれにブシドーは使う価値などないと早々に見切りをつけた。
望むのはあくまで正々堂々の決闘だ。姑息な電波妨害などお荷物でしかない。
そして対峙するガンダム――かつて心奪われた、白亜の剣神。七つの剣を縦横無尽に振るい、陸海空全ての環境に対応する超越的なモビルスーツ。
ブシドーは知るよしもないが、名をガンダムエクシアと言う。
四年前に撃破したはずだが……そんなことはどうでもいい。目の前に現れたのなら、何度でも斬り伏せるのみ。
が、惜しむらくは敵機と比べて自機がいささか小さいということだ。
ガンダムの半分により少し上という程度のACでは、まともに打ち合うことも難しい。機動性を活かし撹乱、乾坤一擲の一撃を叩き込むしかない。
そこまで考えて苦笑する。まるきり、四年前と同じではないか。
愛機フラッグでガンダムへと挑んでいった、あのときと。
「しかし、今度は! 私が君に砂を噛ませる番だ!」
疾風のごとくACがガンダムへと躍りかかる。
左から攻める、とみせかけその傍らを駆け抜け、ガンダムが振り返る前にターンブースタを起動。
加えて手足を振るAMBAC機動を駆使し無理やりに進路を修正、一瞬にしてガンダムの背後を取った。
フラッグ時代から磨きをかけてきた、戦術の教本にすら載ったことのあるスペシャル・マニューバ。
(あえて言う必要はあるまい……だが、これで!)
強烈なGを歯を食い縛って受け流しつつ、右腕の射突ブレードをセットアップ。
背中から斬ることが恥だとは思わない。むしろ手心を加えればこそ、ガンダムを侮辱することになる。
必殺のタイミング。ブシドーは吠えた。
「終わりだ、少年!」
殺意ではない、純粋な戦意――しかしその矛先は確実に、瞬きの間にガンダムのコクピットを抉る軌跡を描く。
ガンダムがフッと身を沈める。だが遅い。前に逃げようと横に逃げようと、この位置からならブシドーの一手がすぐに追いつく。
が、ガンダムはその場を動かなかった。
否。
「……何ッ!?」
激しい衝撃と鋼鉄がぶつかり合う甲高い金属音が響いた。
ACが弾き飛ばされる。ガンダムは、当然無傷だ。
あの一瞬、ガンダムは回避を選ばず、迎撃に出た。それも剣を使った小手先の回避でない。
身を沈めることでこちらが狙いを修正する一瞬を稼ぎ、その一瞬でガンダムは回転した。
そう、回転だ。ブシドーが見せた機動に寸分劣らぬ、全身を使ったまるで独楽のような瞬速の方向転換。
そしてその勢いは全てガンダムの右足――左足はがっしりと地を噛み締めていた。ガンダムの全重量を余すところなく右足に伝えるため――に乗って、ACへと激突。
まともに当たれば小型のこの機体が砕け散っていてもおかしくはない威力だった。
ブシドーはとっさの判断で制動をかけ、ターンブースタを用い蹴りをいなしたのだ。
先程のガンダムと同じく、勢いに逆らわずその衝撃ベクトルが機体に伝わる前に蹴り足を押し出すことで。
だが当のブシドーの表情に余裕はない。取った、と彼をして思わせたタイミングからの逆撃。
一瞬、凄まじい反応と鋭い動きを見せたガンダム。しかしどこか違和感があった。
「あの少年……なのか? 見事な腕だが、どこか……」
「待ってください! あなたは殺し合いをするつもりなのですか!?」
疑問に答えを返すように、ガンダムから声が届く。
声の様子からして「少年」には変わりない。だが、ブシドーの求める「宿敵」とは明らかに違う、声。
すぐに理解が追いつく。
彼自身にマスラオではなくこのACという機体が支給されたように、このガンダムにもあの少年ではない別の誰かが乗っているのだと。
一瞬の落胆。あの少年とガンダム、揃ってこそ打ち倒す甲斐があるというのに。
だが――。
(それにしても……そうであるなら、初めて乗った機体、しかもガンダムをああも操ったということか。フン……面白い!)
新たな強敵の出現。ブシドーはそれを試練と受け取った。
二個付き――そう、あの少年が現在乗っているはずの新たなガンダム。
少年はブシドーと剣を交えてからも幾多の強敵と戦っていたはず。マスラオの調整により前線を離れていたブシドーが羨むほどに。
いつか再びの剣劇を憂いなく全うするために、ブシドー自身も同じだけの、それに類する戦いを勝ち抜かねばフェアではないのではないか。
そう、これは試練だ。宿敵に至る道に置かれた、突破せねばならない壁。
しかしまあ、名も知らぬ見知らぬ他人をただ襲って満足を得るのも武人としてはあるまじき行為ではある。
呼びかけていたことからするに対話の意志はあるようだ。頷き、ブシドーもまた声に応える。
「少年、まずは名を聞こう。私は……故あって本名を名乗る訳にはいかぬが、人は私をミスター・ブシドーと呼ぶ」
渇望するあの少年以外に自身の名を明かす気はない。彼に勝ってこそ、ブシドーは己の名を取り戻すのだ。
「神聖ブリタニア帝国ナイトオブラウンズが一人、ナイトオブセブン――枢木スザク、です。もう一度聞きます。あなたはこの戦い――殺し合いに乗るというのですか?」
聞こえた声のほどは、四年前に戦った頃の少年より少し上といったところか。
だが張り詰めた戦意はあの少年に勝るとも劣らない。少年やブシドーと同じく、戦場に生きる者の匂いだ。
神聖ブリタニア帝国。国名だろうか? 少なくともブシドーは聞いたことがない。
しかし「ナイト」オブセブン、騎士と来た。武士道を標榜する己の最初の敵手としては、申し分ない。
「そうだと言ったら、どうする?」
「……倒させてもらいます。僕もこの状況を理解し切れているわけではありませんが、降りかかる火の粉を払うにためらう理由はありません」
「よく言った……それでこそだ!」
それ以上の問答は無用とばかりに、ブシドーのACが急加速。左腕のレーザーブレードが唸りをあげて解放される。
ガンダム――スザクという少年もまた、言葉ではなく剣を選んだようだ。右腕にマウントされた銃剣複合型の剣を伸ばし、光刃を受け止めた。
激しく放電する剣を間に置き、ACとガンダムが睨み合う。
しかし思い通りの展開になったとはいえ、この状況は不利だとブシドーは内心で認めていた。
同じ接近戦を主眼とした機体とはいえど、有り余る剣をもつガンダムと左右二つの剣しか持たないAC。
その二つの剣にしても、並みの相手ならともかくこのガンダム相手では対応性に欠けていると言わざるを得ない。
右腕の射突ブレードは強力ではあるが隙が大きすぎ、左腕のレーザーブレードは手甲部に直接マウントされているため取り回しが悪い。
ガンダムの全身に散見される斬撃武装を見て、どうせなら一本くらい借り受けたいところだ、と冗談混じりに思う。
右腕の射突ブレードを繰り出す前に、ガンダムはその左腕に二振りめの剣を握る。
刀身をGN粒子が伝う。あれを受けてはまずい――そう直感したときには既に剣は放たれていた。
「むうッ……!」
再度ターンブースタを起動し、鋭刃をすんでのところで回避。
同時に跳ね上がって来たガンダムの足を逆に両足で蹴りつけることで後方への推進剤とし、距離をあけた。
「武器を捨てて降伏する気は……ありませんか?」
「愚問だな。私を止めたいのなら、その剣でねじ伏せてみせろ!」
一手仕損じれば命を落とす戦場にあって、驚くほどに冷静。このスザクという少年、どれだけの死線を越えてきたというのか。
相手にとって不足なし。ブシドーもまた、強敵に邂逅した喜びに魂が昂るのを感じていた。
(しかし、闇雲に打ちかかっても勝てる相手ではないか。まずは……この機体を、私色に染め上げねばな)
狙いは――あれだ。
三度目の突撃。ガンダムは悠然と、猛進するACに向けて右腕のビームライフルを連射してきた。
機体を左右に振って回避。容易にかわせる――すぐにその理由はわかった。
腕、足、頭部。どこも当たっても戦力は低下するが、命まで失う事はないだろうという箇所。
手加減のつもりか。カッと頭に血が昇りかけるも、強靭な精神力でそれを抑え込んだ。
「私を前にしてその余裕……許し難いな、ガンダムッ!」
戦場で敵に舐められたとあってはフラッグファイターの名折れ。その矜持がブシドーを、更なる機動を見せよと追い立てる。
コンソールの一角、特別にあつらえられたスイッチを押す。ACコーラルスカイに搭載された、ある意味では最大の武器。
「見るがいい……暁の空を引き裂く、我がコーラルスカイの奥義を!」
コア背部が展開し、大型のブースタが顔を覗かせた。
充填されたジェネレータのエネルギーをすべて推進系に回し、規格外のスピードを叩き出すオーバードブースト。
可視化できるほどに圧縮されたエネルギーがブースタから放射され、一瞬後に爆発。
ガンダムとの相対距離、およそ200mを――
「……なッ!?」
「斬り捨て、ごめぇぇぇぇん!」
――ただの一瞬で、0にする。
ビームライフルの狙いなど追いつくはずもない。レーザーブレードは一直線にガンダムの胸元へと突き進む。
しかし、やはりと言うべきか。ガンダムは先ほどと同じく、凄まじい反応の速さで左腕の剣を迎撃に割り込ませた。
打ち合ったときの速さとは明らかに違う。コクピットを狙う――致死の一撃にのみ、驚異的なレベルで対応してくるのだ。
だがそれは予想できていたこと。なんとなれば一度見た動きだ。ブシドーの狙いはそこではなく――。
「抜かったな、ガンダムッ!」
「剣がッ!?」
左腕に遅れることコンマ数秒、続けて放たれていた射突ブレードがあやまたずガンダムの左腕を打ち、剣を弾き飛ばした。
宙に舞う、ガンダムの剣。スザクがそれを認識したときには既に遅く。
「……これでようやく、私の舞を披露できるというものだ」
ACコーラルスカイの手にたしかに収まっている、ガンダムエクシアの剣。
GNショートブレイド。ガンダムには短刀であっても、このACから見れば立派な長刀だ。ブシドー好みの実体剣でもある。
使い辛い射突ブレードのある右腕に持った。これで武装は三本の剣――三刀流というわけでもないが。
「さあ、ここからだスザク君。先のような茶番ではなく、本気で来い――君が騎士であるならば!」
手加減など不要。隙を見せれば一気に斬り捨てる。
裂帛の気合とともに放たれた言葉に、ガンダム――スザクもいよいよ心を決めたようだ。
戦闘力を奪ってこの場を収めるのは不可能だと理解したか、その手に三本目の剣、GNロングブレイドを握る。
できればあれも頂きたいものだと思うブシドーであったが、必要以上に敵の戦力を削いで勝利したところで何の意味もない。
壁は高ければ高いほど、乗り越える甲斐がある。
武装の条件はこれでほぼ同じ。後は操縦者の技量で勝敗が決する。
高まる戦場の機運――流れというものを感じる。雑念を捨てこの流れに身を任せ、存分に剣を振るうのみ。
オーバードブーストで消費したエネルギーが充填を完了した。示し合わせたように、ACとガンダムは同時に飛び出す。
四度目の激突――。
「……ッ!?」
「何ッ!?」
が、そこに水を差したものがいた。両機の間を駆け抜ける、光芒の軌跡。
寸前で察知したブシドーとスザクは、同時に機体を退かせた。
コーラルスカイのレーダーが遠く深緑の中に新たな機影を見つけ出す。
長大な砲を構える、見知らぬ機体。
いや、ブシドーは知っている。右肩にランチャーをマウントされ、最初期に確認されたガンダムとは一線を画す風貌。
あの機体――かつて相対した、ガンダムの内の一つ!
「そこの二機。これ以上戦うって言うなら俺が狙い撃たせてもらうぜ。ガンダムを私闘に使われちゃ困るんでな」
その機体から響く声は知らない。だが、ブシドーは直感する。紛争に介入するガンダムと言えば答えは一つだ。
(現れたか。ソレスタルビーイング……!)
続けてビームが二条、三条と放たれ、ACをガンダムから引き離す。
ガンダムを味方と思っているわけではないだろう。時折りガンダムの方にも牽制の射撃を送り込んでいる。
「――ッ、こちらは枢木スザク。当方に継戦の意志はない! あれは自衛行動だ!」
「……やはり、違うか。まあ、いい。戦闘を継続する意思がないならお前は下がってな。さて……」
スザク少年の言葉を受け、完全にブシドー一人を障害と見定めたか。新たなガンダムの砲身は、ぴたりとACをマークしている。
「お前さんはどうする? 戦うって言うのなら、二対一だぜ?」
その声に、構えに、ブシドーが付け入れそうな隙はない。スザク少年が駆るガンダムも油断なくこちらを警戒している。
だが思い出すのは、狙撃戦に特化したあの緑色のガンダム。まさかパイロットも同じなのだろうか?
(だとするならこれはいい――少年だけでなく、奴とも決着はつけたいと思っていた!)
フラッグファイター時代の部下、ダリル・ダッジがその命と引き換えに破壊したと聞く、あのガンダム。
乗り手が無事だったのであれば、またとない仇討ちの機会。
しかし、今は状況が悪いと言わざるを得ない。
ただでさえ己に比肩しうるかもしれない騎士の少年が操る接近戦特化のガンダムに、素晴らしい射撃精度を見せる砲戦仕様のガンダム。
せめて機体がマスラオであったなら――と、思わなくもない。だが、ここは命を捨てる場面ではない。
スザク少年、このソレスタルビーイングらしき男。彼らが最終目標ではないのだ。
(そうとも、少年――私が命をくれてやってもいいと思えるのは、君だけだ。だから――)
心中に浮かぶ、黒髪の少年。愛を超越し憎しみとなり、そしてそれすらも越え、倒すことが生きる証とさえなった宿敵。
彼とまみえるまで敗北は許されない。故に、たとえ意にそぐわぬ行為であろうが忍ぶしかない。
「――スザク君、この場は預ける。この剣がいずれ我らを再び巡り合わせてくれると信じ、今は退こう」
「あなたはまだ……!」
「そして、ソレスタルビーイングのパイロット。君とも直に決着をつける。名を聞かせてもらおう。私はミスター・ブシドーだ」
「……ロックオン・ストラトス。成層圏の向こう側まで狙い撃つ男だ」
「覚えておこう。では、さらばだ!」
「おい、待て!」
使うまいと心に決めていたECMポッドを射出。戦いに使うわけではないのだ……と理由を付けた。
辺り一帯に軽い電波妨害が広がり、ガンダム二機が一瞬の隙を見せる。
その一瞬で充分。ACは再びのオーバードブーストにより、瞬く間に戦場から飛び去って行った。
残ったのは、奇しくもガンダム同士。ただしどちらも本来の乗り手ではない。
「とりあえず、俺と敵対する意思はない……そういうことでいいかい?」
「ええ……僕はこんな殺し合いを認めることはできません」
「オーケー。じゃあ情報交換といこうか、スザク」
武士道が去り、騎士と狙撃手が残った。
戦いはまだ、始まったばかり。
【一日目 12:15】
【ミスター・ブシドー/コーラルスカイ】
【パイロット状態】 健康
【機体状態】 良好、EN20%消費
【現在位置】 D-6
【思考・状況】
1:強者と手合わせし、腕を磨く(ガンダムとは優先的に戦う)
2:刹那を探し、決着を付ける
3:いずれスザク、ロックオンと決着を付ける
【備考】
・GNショートブレイド所持
・戦闘にECMを使うつもりはない
【枢木スザク/ガンダムエクシア】
【パイロット状態】 健康
【機体状態】 良好、EN10%消費
【現在位置】 C-6
【思考・状況】
1:ロックオンと情報交換
2:ブシドーを警戒
【備考】
・ギアスにかかった後からの参加。
・GNショートブレイド紛失
【ロックオン・ストラトス/ガンダムスローネアイン】
【パイロット状態】 健康
【機体状態】 良好、EN5%消費
【現在位置】 C-6
【思考・状況】
1:スザクと情報交換
2:ブシドーを警戒
機体解説
【コーラルスカイ@アーマード・コア3】
レイヴン、カルカースが駆る軽量二脚AC。
攻撃手段は右腕の射突ブレード(パイルバンカー)、左腕のレーザーブレードのみの超接近戦仕様AC。
背部にはレーダーを二機積んでおり、情報処理能力はそれなりに高い。
軽量のため運動性は高く、特にオーバードブースト(コアに内蔵された機能、エネルギーチャージ後に莫大な加速を得る)と
ターンブースト(上腕部外側に設置されたエクステンションブースタ、90度の急旋回が可能)を組み合わせ凄まじい機動性を誇る。
またインサイド(内蔵兵装)にECMを搭載しており、敵のレーダーやFCSに悪影響を与えることもできる。
【ガンダムエクシア@機動戦士ガンダム00】
刹那・F・セイエイがマイスターを務めるソレスタルビーイング製第三世代ガンダムの一つ。
7つの斬撃武装「セブンソード」を駆使した近接戦闘を得意とするガンダム。
フレームは柔軟性に優れ機動性も高く、またGNドライヴの効果によりステルス機能も保有する。
オリジナルのGNドライヴ(太陽炉)を搭載しており、蓄積した高濃度圧縮粒子を全面開放することでスペックを3倍以上に引き上げる「トランザムシステム (TRANS-AM)」を使用可能。
しかし大量のGN粒子を消費するため短時間しか発動できず、使用後は粒子の再チャージまで機体性能が大幅に低下する。
最大出力時は背部ドライヴカバーの安全装置が解除され、スリット内部のホイールを露出させた「オーバーブーストモード」に移行する。
またGNフィールドをもつ太陽炉搭載機に対抗するため実体剣を備えた、いわば「ガンダムを駆逐するガンダム」の側面も持つ。
【ガンダムスローネアイン@機動戦士ガンダム00】
ソレスタルビーイングのセカンドチームが運用するガンダムの亜種。マイスターはヨハン・トリニティ。
ビームライフル、サーベル、シールドの基本的な武装に加えてGNランチャーを備え、ハイパワーの長距離砲撃を得意とする。
疑似太陽炉はオリジナルと違い赤いGN粒子を放出するが、性能に違いはない(トランザムは使用不能)。
他の太陽炉搭載機と直結することでさらに強力な砲撃を放つことが出来る。
パイロット解説
【ミスター・ブシドー@機動戦士ガンダム00】
独立治安維持部隊アロウズに所属するMSパイロット。
独自行動の免許を与えられており、対ガンダムの任務にしか参加しないほどプライドが高い。
左利きであり、高速の接近戦を得意とする。
【ロックオン・ストラトス@機動戦士ガンダム00】
ソレスタルビーイングに所属するガンダムマイスター。
四人のマイスターの中では最年長かつメンバーのまとめ役であり、広い視野をもつ。
狙撃を得意としており、「成層圏の向こう側」までも狙い撃てるほどである。
【枢木スザク@コードギアス】
ブリタニア皇帝直属の騎士・ナイトオブラウンズの一人、ナイトオブセブン。
ナイトメアフレーム操縦技術だけでなく生身の体術にも優れ、ランスロットの凄まじい動きはスザク自身の能力によるところが大きい。
ルルーシュから「生きろ」とのギアスを受けており、命に関わる事態になれば本人の意思を無視して身体が勝手に反応するようになっている。
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