マインドゲーム(前編)






 二人は暗くなってもゲームが出来る場所を求めて、町へと向かっていた。

 歩いている間、暇人はハカロワ書き手における自分のポジションについて
考えてみた。
 結論は『微妙な位置』だった。

 隣には一緒に歩いている#7-76がいる。彼女のポジションは言っては悪いが、
“底辺近く”だろう。何故なら、そもそも一話しか書いていないからだ。
 自分はそれなりに露出も多いし、叩かれる事件も起こしてない。竜虎という
名作も出している。が、いわゆる一線級のコテと比べると知名度は格段に落ち
る。
 しかし、知名度と言っても色々ある。命氏や。付き氏のように賞賛によって
名を知らしめたコテもいれば、林檎氏や高校生三人衆のように不本意な形で名
が広まってしまったコテもいる。
 悪名で広がるよりは知名度0の方が何億倍もマシだろう。

 と、ここまで考えて、その思考を中断させる。

――何がポジションだ、馬鹿馬鹿しい。

 ハカロワにおける貢献度は個人差があれど、誰が欠けても完結は出来な
かった。自分の“竜虎”だって沢山の書き手がそこまでの展開を作ってく
れたからこそ出来た作品だ。
 ハカロワはみんなの創作物なのである。

 「おい、大丈夫か?」
 #7-76が心配そうに聞いてきた。彼女なりに暇人の心配はしていたらしい。
 「ああ、大丈夫だ」
 こう心配してくれた彼女を例え脳内でも底辺呼ばわりした事を恥じ、努
めて明るく返事をして、声にした方に振り返った。

―――?

 それは光っていた。
 光っている何かが彼女の頭の上に生えていた。

 不気味な物体は0.5秒間隔で頭の上にどんどん生えていった。
 彼女の表情は変わらない。
 彼女は動かない。
 どんどん増えていく。

 結局、暇人は#7-76が倒れても、光って生えている物体がなんなのかは
わからなかった。
【#7-76 死亡】
【残り30人】




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