スケプチシズム






「嬢ちゃん、出ておいで。もう大丈夫だ」
 ダンディの鉈を鬱蒼とした茂みの中に捨てながら、L.A.R.は呼びかけた。
 接近戦のできる鉈は魅力だが、正直言うと、もうこれ以上荷物は増やせない。
 体力に自信があるわけでもなく、体格も大きくは無い。
 もちろんセルゲイみたいのは別だが、その他の連中と比べたって小さい方だ。

 その点、赤目嬢はイイ(・∀・)!!
 安心感がある。
「さ、行こうか。銃声を聞いて、変なのが集まってくると困るからね」
 手を引いて、歩く。
 至福のひとときだった。

(……どど、どうして……)
 赤目はおそるおそる手を繋ぎながら、一つの台詞を反芻していた。
 元から対人恐怖症の気はあるが、今はある疑念が付きまとっているためである。

『ともにハカロワ創成期を築いた仲じゃないか』

 先ほどの、「彼」の台詞。
(……おか、おかしい、よ……ね?)
 たしかに、いつかさんは最初のほうから書いていた。
 でも、『創成期を築いた』というほど密に作品を投下した訳じゃない。
 もしろ機を見て良作を落とすタイプの書き手だ。

『ともにハカロワ草創期を築いた中じゃないか』

 「彼」の後姿を見つめる。
 けっして大きくないと、本人が悲しげに評した、その背中。
 それでも赤目からすれば、大きな、大きな背中だった。

(あなたは……だあれ……?)

【04:L.A.R. 至福のひととき。鉈は始末】
【24:赤目 疑いはじめている】



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