俺とセブンとライダーと
坂道を上る。
林道を行く。
ただただ、山の頂上を目指す。
どうせそこらのスーパーで3個100円で売ってそうな、どこにでもあるバトロワネタだ。
ここだってどうせ半径数キロ程度の島だろう。
だったら山なんてひとつしかないだろうし、そう高くもないだろう。
まずは山の頂上に行こう。そこから島全体を見下ろす。
自分がどう行動するかなんて、それから考えればいいさ。
ALFO(45番)はデイバッグを肩にかけ、ひたすら上り続けていた。
幸い登山の経験もあり、また山もそう険しくもなく、順調な足取りであった。
30分も歩いただろうか。
上の方を見つめ、まだ頂上は遠いと見て、とりあえず開けた場所で休憩を取ることにした。
水でも飲もうかとデイバッグを開き、そういえばまだ支給武器を確認していないことを思い出した。
下川の姿を見、説明を聞いたとき、ALFOの胸は歓喜に包まれたものだ。
前から(・∀・)イイ!と思って、ある意味憧れていたハカロワに、自分が参戦できるとは!
ネタでしか存在しない空間の中にに自分が在ると知って、達しそうにすらなった。
さあ、あとは生き残るだけだ。
そんなALFOだから、(・∀・)お面が出ようがもずくが出ようがパラベラムが出ようが驚くことはなかっただろう。
だから一組のカードデッキが出てきた時も、落ち着いて中身を確かめようとした。
そして、一瞬凍りついた。
SWORD VENT
SURVIVE(FRAME)
UNITE VENT
TIME VENT
FINAL VENT
それは13ライダーのカード一揃いだった。
「はっ……あっははははははっ……そういうことかよ、下川さんよ!」
思わず高笑いをあげるALFO。こんな森の中に、他に人はいないだろうと判断してのことだろうか。
「こんだけカード揃えてバックルは無しかよ……そうかそうか、誰かが持ってるってこったろうな?」
思わぬところから『戦う理由』を見つけた。あとは実行するだけだ。
ご丁寧なことに、ファイナルベントは13枚+サバイブ用に2枚、計15枚用意されている。
これを活用できるなら、負ける要素はどこにもない。
バックルにカードを入れれば変身できると疑いもしない。
いや、それ以前に、バックルの存在を確信している。
ALFOはある意味、『ロワイアル』の空気に酔って、すでに正常な判断が出来ないのかもしれない。
それとも、何らかの確信を持っていたのだろうか。
呼吸が落ち着いて、改めて山を登り始める。
そして、さらに30分ほど歩き続け、その山の頂上に立った。
『○×山頂上 380m』の看板があるから間違いないだろう。
だがそこは、あくまで森の中のままであった。
岩山や、特に登山用に整備された山でもなければ、頂上が見晴らしが良いとは限らない。それを忘れていたのだ。
残念なことに、ALFOには登山の基礎技術はあったが、木登りの技術はなかった。
「……ったく……ここまで何しに来たんだか……せっかくだから山頂にボーナスアイテムでも置いてろってんだよ」
毒づくALFO。更なるスタッフへの侮蔑の言葉を考えようとしたが、
ガサッ
茂みが鳴る音に気付き、そちらを振り返った。
(……登山道は1つじゃなかったってわけか……さて、どうする? 戦うか? 話しかけるか?)
ガサガサッ
高く立つ草をかき分け、そこに女性が現れた。20代半ばの、ジーンズ姿の健康的なイメージ。
彼女はデイバッグを肩に、物騒な機械のようなものを逆の肩に背負っている。
(なんじゃありゃ……どっかで見たような……って、まさか第七聖典かよ! 葉鍵ネタじゃねえのかよ! なんじゃそりゃ!)
思考が疾走するALFO。だが相手はALFOの姿を認めると、意も解さないかのように語りかけてくる。
「あら、こんな所で人に会うなんて……初めまして、私はらっちーという者ですが……貴方は?」
どう返事すべきか、ALFOは一瞬悩む。その間にも名剣らっちー(35番)は話しかける。
「って、登山家に悪い人なんていませんよね。私も登山が好きなんですけど、貴方もそうですよね?」
淀みなくペラペラとノンストップでいろんなことを語りかけてくるらっちーを見ながら、ALFOは思った。
(……どうすればいいんだ)
【45番 ALFO 支給武器:仮面ライダー龍騎・13ライダーカードデッキ一式】
【35番 名剣らっちー 支給武器:第七聖典】
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