そのために
森の中を、YELLOW(18番)は疾走する。
彼の目的は、ただひとつ。
そのためだけに、今は走る。
――人影が見えた。
「!?」
慌ててスピードを落とし、木の陰に隠れて身構える。
その人影は、遥か昔の(略)(21番)だった。
「おい……。あんたは……はるか氏か?」
突然の声に驚くはるかの前に、YELLOWは姿を現す。
「!? ……君は……ああ、そうだ。YELLOWさんですか?」
「そうだ。俺は攻撃する気はない。ひとりか?」
「ええ、そうですけど。君もひとり?」
「ああ」
YELLOWにとって、全ての感想を書き上げたはるかは尊敬に値し、
またはるかにとって、良作を書いたYELLOWは尊敬に値した。
お互い、緊張を解く。
「ふぅ。問答無用で攻撃するようなヤバいコテハンじゃなくてよかったですよ、あなたが」
「俺もだ」
シニカルな笑いを浮かべるYELLOW。
「だったら、もしよかったら一緒に行きませんか?」
「いや。俺はいけない。俺には目的があるんだ」
即答だった。YELLOW氏のただならぬ決意を感じ……そして、はるかは悟る。
「瀬戸氏にソープを奢ってもらうんですね……。ならしょうがないな。
もし目的を果たしたら、再び会いましょう」
「わかった。生きていたらまた会おう。約束だ」
はるかが見送る中、YELLOWは再び闇の中に走り去った。
ハカロワ一巻完売記念に、瀬戸こうへい(39番)にソープを奢ってもらうために。
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