ゲーム・リスタート






 絶海の孤島に建てられた巨大なホール。
 ここから、史上最悪のキリングゲームの幕が今、再び開かれようとしていた。

「えぇ、これからお前達には、殺し合いをしてもらう」
 屈強な男たちを従えて、ゲームの管理人・下川は言った。
 その言葉の意味を、その場にいる者たちは瞬時に理解する。
 が、誰も何も言わない。動かない。
 当たり前だ。だって、動いてしまっては――。
「ちょっと、どういう……」
 ぴぴぴ……ぼんっ。
 鋭い電子音の後に、鈍い音が響き、立ち上がってしまった男――名も無い書き手の一人
――の首は、胴体と永久に別れる羽目となった。
「どういうことって、こういうことや。何べんもやってるんやから、わかるやろ?」
 下川は、首輪を爆発させるためのリモコンを弄びながら、こう言った。

「まぁ、なんや。ウチらとしても、わが社のキャラクターを玩具にされるのはかなわんのや。
 ましてや、紙媒体? 2chのリレー小説が日の目を見る? 全く、ふざけとる。
 プライドがあったら、コミケには出られんよなぁ?」
 下川は、コテハン書き手たちの顔を見渡し、ニヤリと笑った。

「と、いうわけでウチらは双方合意の下に、楽しませてもらおうというわけや」
 下川の隣にいた男――馬場――は、無言で頷く。
「そんなわけで、せいぜい気張って殺しあってくれや。
 ルールはわかっとるやろ? その首輪の意味も、さっき見てくれた通りや。
 ちょっとでもおかしな真似をしたら、プロジェクト放棄とみなして爆発させるからな。
 ああ、そや。最後まで生き残った奴には、次回作でシナリオ書かせてやってもええで。
 ほら、ちったあやる気出たやろ?」
 ホールの面々は、無言のまま何も答えない。下川は舌打ちする。
「……ち、もうええ。それじゃあ、ゲームスタートや」

 斯くして、Leaf・Keyの企業が主催となって計画されたキリングゲームに、
 連れて来られた40人の運命は再度、翻弄されることとなった。

【名無しの書き手 死亡】
【残り40人】




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