馴れ合うな
「どうした? 工房」
林檎はそう言いながら支給武器の鉄パイプをマナーに振り下ろす。
「がはぁっ!」
マナーから苦悶の叫び声が生まれた。
何度も叩きつけられ、パイプはもう原型を留めないほど折れ曲がっている。
「結局、僕は君の事が情けないほど嫌いなんだよ。もうどっちか死ぬ以外解決策は無い」
淡々と話すその口調は、マナーとの決着戦をつけることへの強い意志の表れであった。
さんざん痛めつけた後、林檎はマナーを崖の近くまで運んだ。
「ここから落ちれば君でも終わりだろう」
倒れているマナーの胸倉を掴み無理やり立たせる。
「最後に何か言い残すことでもあるかい?」
「……たよ」
「聞こえないよ。遺言は無しかい?」
落とそうと崖まで持っていこうと、更に手に力を入れる。
その時、
「あなたの最終話、大好きでしたよ……」
意表を付かれた林檎は戸惑う。
確かに色々と問題は起こしたが、ハカロワを好きという気持ちは大きい。
心は揺れ動いた。
「……僕は仇敵が大嫌いだ。君はどう思う」
「大々嫌いです」
にこやかに微笑み返答する。
林檎は苦笑交じりに言う。
「腹をわって話し合えていたら、親友になれたかもしれないな」
「かもしれませんね。でも」
「でも?」
「やっぱりあんたぁ駄コテだぁ」
マナーは手を振り払うと、しゃがみこみ丸まった。
その丸まった背中をステップとして
「死ねえぃ!!」
後ろから走ってきたにいむらが飛んだ
「遅いぞ、にいむら」
「済まない、三人倒してきたから」
指を三本立ててアピールする。
「そして四人目か」
「……」
「どうした?」
「実を言うと当たりが浅かった。シャイニングウィザードでは死んでないかも」
にいむら自身も崖から落ちないように、技の勢いを弱めた。だからだろう。
「で、でも飛ばされて崖に落ちたし、まず死んでいるだろうな」
崖の下は森で様子を確認することは不可能だ。言い様の無い不安が襲う。
決着戦はまだまだ終わりを見せないのであろうか。
奮い立たせるようにマナーは叫んだ。
「行くぞ、早く彗夜を見つけて高校生連合を集結させなければ」
【にいむらたくみ マナー(゜Д゜)と合流】
【林檎 生死不明】
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