最強の武器
お互いに、自分に敵意がない事を伝えると、近くの茂みに下ろす。
「なぜ、こんな事になってしまったのでしょうね・・・」
いつもの敬語にもやや翳りをおびた口調で話し出す中条。
それは当然だ、こんなふざけたゲームは映画や漫画の中だけだと思っていたから。
それを突然拉致され、目の前で人が死んだとあっては誰でもそうなるであろう。
「分からない、僕たちは書き手じゃない。実際に話を書いていてキャラを殺したというのなら別だけど、
僕たちは何もしていないのに、こんな事をされる必要はないはずだよ。」
それはエゴだった。
「いや、やっぱり僕たちも悪いのかもね。」
いじめを見て見ぬ振りをするように、実際に読んで楽しむのも同罪だ。
ましてや紙媒体化し、光をあてるような真似をしたのだから・・・
長いようで短い時間二人は無言だったが、ふと中条が口を開く。
「瀬戸さん、私はしぇんむ〜達を倒そうとおもいます。」
決意の火を宿らせた目で言う。
「あなたはどうするのですか?」
「僕・・・、僕は・・・、僕も一緒に行きます!」
しばらく俯いた後、同じような顔をして答える。
「僕は、僕の無謀とも思える計画に賛同してくれたみなさんを・・・、殺すなんてできないですから。」
殺すという言葉に彼らは殺し合いの中にいるんだ・・・と、思わざるをえなかった。
「僕には、彰のような行動力も耕一のような強さもありませんし、武器もこんな杖ですし、役立たずになるかも知れないですけど。」
瀬戸は支給武器の杖を見せながら元気なく笑う。
「構いませんよ、味方がいるだけで心強いです。」
中条の言葉で元気をだし、
「はい!」
今度は満面の笑みで二人は笑った。
隣に誰かがいるだけで、元気になってくる。
仲間・・・、それは銃や兵器、どんな物よりも強い武器だった。
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