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Kyazは長い間呆然としたまま時をすごした。
放送内容からのショックもあった。
移動をしながら色々と考えた。
だが彼女の決意は決まっているのだ。
「みんなと力を合わせて島から脱出する!」
そしてレーダーに光点が光った。
彗夜は半駆け足で嬢を追っている。
嬢の足の足跡を見逃さないように慎重に。だが追いつけるように大胆に進む。
「あれは…彗夜氏?」
Kyazは彗夜を観察する。
ハカロワ参加時期がずれていたため面識は無かったが、最初の解散時にたまたま覚えていた。
……評判は聞いていた。そしてなにより靴などの一部にに血が付着している…。
「どうすればいいんだ」
少しの瞬間頭を悩ませたが、自分の決意は変えない。
あきらめない。
人の評判なんて悪評ばかり目立つ。
血といったって正当防衛の上でかもしれないし、たまたま現場に立ち会ったのかもしれない。。
「彗夜さん!」
「ん? 誰だい君」
彗夜が足を止める。
近くで見てKyazは気づいた。
彼の目は雄の獣のように血走っている。
「ぐ……。協力して脱出をはかりませんか!」
「興味ないネ」
…。
……。
…………。
……………………。
かえって耳障りなほどの沈黙。
「あの…」
「今の僕の興味は嬢だけサ」
ぎらついた目。
彼を支配しているのはあの欲望だろう。
感じ取れる。彼は彼女を殺そうとすら思っていない。興味の対象外。
だが彼女は食い下がる。
全員で協力するための第一歩だ。一人も仲間にできないのではそんなの夢物語になってしまう。
まずはあの血走った目をなんとかする。
「彗夜さん…」
「ん?」
再び駆け出そうとしていた彼が振り返る。
「あなたの感じている感情は一種の精神疾患です。
鎮め方はボクが知っています。ボクに任せてください……」
言って服をはだけさせる。
「年増は範疇外だネ!」
…。
……。
「待ってください! 嬢にそんなことをするのを…。第一嬢は幼――」
「君には関係ないだロ。うるさいヨ」
いらついた雰囲気感じ取れる。
「関係なくありません! ボクは嬢を日本一のロワ書き手だと思って尊敬しています!
どうか彼女ではなくボク…」
――ガン!!――
彗夜の刀が木にめりこむ。
めりこんだ場所は、反射的にしゃがみこんだKyazの頭のすぐ上。
そしてそれを放置して彗夜は走り出した。
(僕もなかなかモテるじゃないカ。それは餞別だヨ)
そのまま腰がくだけ、へたりこむKyaz。
「お…怒らせちゃった……」
彼女は自分の行動の浅はかさを…。
「でもあきらめません……。絶対みんなで脱出を……。ああ、嬢を助けないと」
認識していない。
言って彼女は頭上の刀に視線をずらした。
「こ…これはまさしく跋扈の剣!?」
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