ささやかな幸せ…そして
殺し合いをしないにしろ、人間食べなきゃ生きていけない。
もちろん最初にパンは支給されているが、とても足りた物じゃない。
豪華料理とは言わないが、せめてコンビニ弁当位用意して欲しいもんだ。
俺、名無しcdがそんな事を考えていると、彼女…quitが言い出した。
「ご飯、作りましょうか?」
「作る? 誰が?」
「私が。多分、材料とかは探せばあると思うんです。結構料理得意なんですよ?」
そう言って振り返ると、悪戯っぽく笑う。
それがとても可愛くて、ついからかってみたくなってしまう。
「…そう言いながら、千鶴並、なんて事無いだろうね?」
「あ、ひっど〜い! そんな事言ってると作ってあげませんから!」
「冗談だって。是非作って下さい。神様仏様quit様」
「もう…材料揃えるのはは手伝って下さいよ」
「了解!」
それは、何気ない日常の会話。
でも、こんな狂った島でそんな話ができるのはとても幸せな事で。
永遠なんて無いとは解っているけど、だけどそれでも。
そんな話ができる彼女と、いつまでも一緒に居たいと思った。
材料はすぐにみつかった。
とは言っても、民家や雑貨店に押し入って失敬したのだが。
どうせ皆主催の用意した物だし、遠慮する事はあるまい。
ある程度の米や野菜、調味料にその他おかずになりそうな物少々。
で、早速調理に入ったのだが…そこに思わぬ落とし穴があった。
カチッ、カチッ。
「どうだい?」
「駄目ですね…、この家、ガス通ってないみたいで…」
「キャラロワでも民家全部に行き届いてた訳じゃなかったからなぁ」
火の付かないガスコンロを前にして俺はおさまりの悪い髪をくしゃくしゃとかきまわす。
彼女は役に立たないフライパンを手持ち無沙汰にくるくる回している。
「どうしましょう?」
「そうだな…ガスの確実に通っている所……そうだ、あそこがあった!」
そう言って、窓から外を見回す。
もし、この島その物がキャラロワで殺された連中の復讐ならば、あの建物があるはずだ。
どうやら、俺の考えは当たっていたらしい、目的の物はすぐに見つかった。
住宅街からある程度はなれた場所にそびえ立つ建物…。
教会編と並ぶ、中盤の死闘の舞台……学校だ。
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