女は真理
「もし、、」
いつかの肩は小刻みに揺れていた。
「もし、あいつが危険な奴を見つけて、動けない俺を逃がしてくれたんだったら、、」
MIUは、はっとしてしまった。
確かにそう考えてもおかしくない。
「もし、本当にそうだったら、、俺は、もう、、」
MIUは小さくうずくまったいつかをしばらく見ていたが、肩をつかんで起こそうとした。
その仮定が真実であろうとなかろうと、Riverを殺した危険な奴がこの建物内にいることは確かなのだ。
「とりあえず動きましょう。ここにいても、」
肩に乗せた手に痛みが走る。
「うっ」
「俺はもう、、許せないよ、、」
MIUの手を思いっきりつかんだまま、いつかは振り返った。
溢れんばかりの憎悪と悲しみのこもった目を向けて。
手の痛みをこらえて、静かな声で言う。
「誰を許せないの?」
「!?」
いつかの目が一瞬見開き、腕の力がすっと抜けた。
いつかはきっと素直な人間なんだろう。その素直さゆえに、激しい感情に焼かれているのだろう。
すっと立ち上がる。
「ごめん、さ、いこうか」
その笑顔からは計り知れない強さと脆さを、、MIUは知っていくことになるだろう。
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