消滅した過去
いつか氏、という名前より、蒼天の雨の作者。
そっちのほうが聞こえはいいだろう。
その、彼の代表作の人気はすごい。
ハカロワ好きで蒼天しってなきゃモグリ、とまで言われるほどの傑作だ。
で、その大作家が今どうしてるのかと言うと。
「が、がは……何故崖が」
死にかけていた。
このままいつか氏死亡。
と、いけばそれはそれで面白い気がするが、神はそれを許さなかった。
何故なら、一人の青年が側を通りかかったからだ。
「どうしたのですか!」
青年はこの残状を見ると、血相を変えて飛び込んできた。
このゲームの最中でも人の心配できる。
そういう人に出会えたことをいつかは喜びつつ、助けを求めた。
「崖から落ちてしまいました……お願いです助けて下さい……」
「安心してください、もう助かりません! 遺言ならばっちし、聞いてあげます」
「……ァ?」
いつかは一瞬、本気で死にかけた。
「だから、遺言ききますよ」
「た、助けて……」
「いや、無理ですって。でも」
青年はそこで急にニヤケタ表情になると同時に、一つの提案をだした。
「助けてあげてもいいです。その代り約束してください。俺のパートナーになると」
「パ、パートナー?」
「そう。日本語に訳すと相棒」
突拍子も無い提案だ。しかし、うだうだ言ってる場合じゃない。
許諾しなければ死ぬのだ。是非も無い。
「何にでも、なるから……ダ、ダヅゲテ」
言語中枢がおかしくなってきたいつかを満足そうにみつめると、
急に近くの草むらに駆け出した。
そして、どこから用意したか不明なリヤカーを持ってきた。
「よいしょ」
「がはっ」
いつかをバックドロップ風に投げ入れると、リヤカーは一目散に走り出した。
「……そう言えば名がまだでしたね。名前は?」
「い、いつか」
「俺は……Riverです。頑張りましょうね」
「げ」
River。通称三途の川。
補完話の天才だ。人気投票も企画してみせらぁ。
でも集計だけはかんべんな。
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