慈悲
「やめ…やめぇ…」
「うーん、やっぱり脱出を目指すべきですかねぇ…」
ガシガシ
「どう思いますか?にいむらくん」
「ぅあああぁああぁぁぁっっっっ!!」
手の甲を思いっきり踏まれ絶叫をあげる。
林檎の目の前にはうつぶせに倒れたにいむら。
「ぃゃめ…またーりれっどって」
ゲシッ!
「でも折角拳銃があるんですし…でも血は苦手なんですよね」
「ひぃ…ぃゃ…」
ギシ……
「ぃぃぃぃぃたすけ…な…なんで林檎さんがわたしを…」
「林檎さん?わたし?はぁ?林檎に俺じゃなかったですか?」
ガン!
顔面に蹴りがヒットし、にいむらの首から嫌な音が聞こえた。
「ぅぅぁあ……ぁ…」
「私って手に入らなくなったものにはまったく興味ないんですよ。
ほら、にいむらとの友達関係はもう手に入らないでしょう?
ならもうねぇ…」
ゴッ!!
「ぐぁ…」
そこまでやって林檎は一歩下がる。
「うーん。でもこのまま殺しちゃったら私が物凄い腹黒いみたいですね。
そうだ。賭けをしましょう。
私の両足のうち、あなたが石ころを踏んでいる側の足を指定できたなら助けてあげます。
踏んでいない側を指定したら殺します。慈悲深いですね」
「ぅぅ…なんでこんな…」
「選ばないならすぐに殺しますけど…」
彼の顔はずっと笑顔のまま。
「………」
「………」
双方の長い沈黙。
「…………み…ぎ…足」
にいむらが指定する。そしてすぅっと林檎は右足をあげる。
石は………無かった。
そのまま彼は右足をにいむらの首めがけて勢い良くおろす。
グギァ……
耳障りな音とともに絶命するにいむら。
「……さてと、やっぱ生き残りのほうがよさそうですね。
そのためにもまずは駒をさがさないと…」
そういって彼は移動を始める。
「セルゲイあたりですかね…。
嬢あたりも頭が切れるから欲しいですが、頭が切れる分なにかと厄介ですし…」
左足が何も無い地面から離れた。
【31 にいむら死亡】
【残り29人】
前話
目次
次話