思惑
ガィン!
私の放った弾丸は、何故か学生鞄によって防がれた。
今の音から察するに、鞄に鉄板でも入っていたのでしょうか。
「・・・嫌なものを持っていますね。 貴方はアレですか? 時代遅れのレディース」
「ンなわけあるかっ!」
ものすごい目で睨まれる。 これは、間違いないですね。
しかし、状況が厳しくなってきました。 相手はこちらの弾道に合わせて防御出来るみたいですし。
--と、ちょっと困っていたら、彼女は私の後ろをちらっと見てからじりじりと後退を始めました。
危うく私も後ろを振り返ってしまうところでしたが、これが相手の策略ならば、無駄に乗ることはありません。
常に周囲に気を配っていれば、不測の事態は避けられ・・・あいたっ。
・・・側頭部に何か当たりました。
地面に落ちたソレを見ると、蛍光色のプラスチックで出来たフリスビー。
飛んできた方向を見ると、月の光を受けて妖しく光る七色のフリスビーが次から次へと飛んできます。
「なっ・・・?」
っと、一瞬呆気に取られましたが、すぐに思惑に気付きます。 なんてド派手な目くらまし。
逃げていた相手を見ると、案の定、一気に迫って私の銃を狙い、鞄が振り下ろされるところでした。
一瞬速く反応出来た私の勝利。 私は後ろに飛び退く。 今まで私が居た場所に鞄が振り下ろされる。
鞄を振り下ろしたことにより、相手はバランスを崩しています。
藤田さん、これで一歩貴方に接近です。 私は銃を構え・・・あれ? どうして目の前に星が?
「・・・やっぱ、殺さなきゃいけなかったのかな?」
あたしは後頭部から血を噴出して倒れる少女の横に立つ、血塗れたヌンチャクを持った楓に問い掛けた。
「・・・私は、生きて耕一さんに会いたいです。 もう、悠久の時を待ち続けるのは・・・嫌だから」
フリスビーを集め終わった初音と千鶴姉ぇも集まってくる・・・が、楓を含め、誰もあたしと目を合わそうとしない。
「生き残って・・・ね」
みんな、同じ事考えてるんだろうな・・・・・
空が、白み始めていた。
【姫川琴音 死亡】
【残り48人】
【柏木梓】ヤンキー鞄(鉄板入り)
【柏木楓】ヌンチャク
【柏木千鶴】??
【柏木初音】七色のフリスビー
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