ムーンシューター






「よっしゃ!」
 思わずガッツポーズをとってしまう保科智子。
 ゲームクリアの表示の後画面に猫が現れて台詞が表示される。
『アイテムリスト65ノパスワードハ「SHIHARADEPANPAN」ニャ。バショハE-05東南ニアル6ナラビ地蔵ノ後ロヲホッテミルニャ』
「おっとメモやメモ……」
 話は少し前に遡る。
 アイテムリストにはよく見ると支給品の欄が全部で70あった。
 勿論表示されているのは60と2つ分だけで下の方には8つの空欄があったのだがそこを表示しようとすると突然パスワードの入力を求められたのだ。
 わけがわからなかったのでとりあえず最後の、同じくマジックで「G」とだけ書かれたカセットを差し込んでみる。
 すると今度は糸目の猫がにゃーにゃーと鳴きながら画面に現れた。
「ぴろとゲーム」のタイトル文字。猫のまわりに現れる9つの四角い枠。
『ココニ収録サレテイルミニゲームヲクリアスル事ニヨッテ島ノ各地ニ隠サレテイルアイテムノ場所ヲ教エルニャ』
 隠されているアイテム? そんなモンがホンマにあるんか?
 疑いながらも適当に選んだゲームを始める。単純なシューティングゲームだったがなかなか難しい。
 こういうの長岡さんや宮内さんやったら得意かも……そんな事を考えながらつい熱中してしまっていた。
 早速カセットを差し替えてアイテム65のパスワードを叩き込む。
『ピコ! パスワード確認。アイテム65は「ミネラルウォーター50リットル」ピコ。5リットルのタンク×10に分けられているから持ち運ぶのも大丈夫ピコ』
 水……か、確かに今のまんまやと心もとない量やし、今後の事も考えて探してみた方がええかも……
 せや、今の自分の状況を確認しとかんと。
 再びカセットをレーダーに差し替えて電源を入れる。
 現在の自分の位置を画面の地図から確認。
 D-03……そうするとE-05エリアへは割と近いんかも……行ってみるか……
 しかし……画面を縮小させてから全体をじっと凝視して智子は思った。
 ちゃんと数えたわけではないが最初見た時より光点の数が確かに減っている……そしてその意味を考えて頭を左右に振る。
 アカン、アカンでみんな……殺し合いなんかしとったら……
 その時の智子は自分の位置へと近づいてくる光点の存在に未だ気が付いていなかった。



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