シューティングゲーム
見つかってしまったのなら仕方が無い。
あたしは、出来るだけ自然に、敵意が無いことを証明するように岩場から出る。
「よっ、いい月だね」
「ええ、本当に綺麗なお月様です。」
少女-姫川琴音-は可愛らしくにこっと笑う。
よかった、銃なんか持ってるけど話せる相手みたいだ。
ぱん!
「うわっ!」
突然琴音が発砲する。 弾はあたしの足元に着弾した。
認識修正。 コイツは平気な顔していきなり撃ってこれる、ヤバい奴だ!
「あん、当たって下さいよ。 あんまり弾を無駄にしたくないんですから」
「無茶言うなーーっ!」
あたしは足元に置いてあったバッグを掴み、相手から姉妹が死角になる方向に駆け出した。
岩場を縫って逃走する。
"弾を無駄にしたくない"の言葉どおり、身を隠す岩と岩の間が広い場所でのみ発砲してくる。
しかし所詮はハンドガン、距離をとればそうそう当たるものではない!
「ちっ、殺しなんてしたくないけど、そうも言ってられないか!」
あたしは支給品のバッグを開いた。 あたしの支給品があれば・・・
「って、なんじゃこりゃーーーー!!」
出てきたのは鞄。 学生鞄。
ぺったんこに潰れていて、妙に重い。 持ち手のところには何故かビニールテープが巻いてあった。
「これ、楓の支給品じゃん・・・」
「一人上手はそれくらいにして下さいね?」
不覚。
後ろに居ると思っていた相手が、いつのまにか横に回りこんでいたようだ。
「できれば、あと2発くらいで死んでいただけると助かります」
琴音はにっこりと笑って
ぱん!
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