捕獲?
猪名川由宇は森の中にぽつんと建っていた小屋の中にいた。
たまたま見つけた時は怪しいとも思ったが、様子をうかがっても誰もいなかったのでここで一息つく事に決めた。
「にしても、この島には木こりでもいたんかいな」
呟きながら、バッグのジッパーを開ける。
中に入っていたのは水、携帯食料、コンパス、地図・・・
「なんや・・・これ」
いや、何かは分かっている。だが、予想と大きくかけ離れていたので声がでてしまった。
でてきたのは、投網だった。
「どうしたもんかなぁ。これ」
少し考えて、由宇はしばらくここにいる事に決めた。
その際の安全策として、小屋の入り口近くに罠を張ることにした。
幸いな事に必要なものは全部、小屋の中で揃った。
・・・まぁ、そんな大した罠やないしな。
入り口近くに糸を張り、それに引っかかると固定してあるカッターで糸が切れると同時に糸で吊ってあると網が落ちてくる仕掛けだ。
網は木々に阻まれて目立たないが、よく見れば簡単に気付かれてしまう。
それに、はっきり言ってしまえば罠自体がちゃちなものだ。
―こんなん、かかるやつおんのか?
自分で仕掛けておいて、不安になってしまう。
「まぁ、あんなん持っててもしゃあないしな。気休めにでもなればええわ」
そう言って、由宇は小屋の中に戻っていった。
・・・数分後。
ばさっ、と何かが落ちた音。
「なんや!いきなりかかったんかい!」
外に出て、由宇の目に映ったものは
「ふみゅ〜ん、なんなのよぉ。これ〜」
網にかかってもがく大場詠美の姿だった。
【猪名川由宇、大庭詠美、合流】
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