おやつに入りません
周りを警戒しながらゆっくりと慎重に私達は歩いていた。
「川澄さん……」
「舞でいい」
「じゃぁ私もみさきでいいよ、舞ちゃん」
私は握られた手を少しだけぎゅっと強めた。
「……はちみつくまさん」
なんだかよく分からなかったけど舞ちゃんの手は少し暖かかった。
こうして私は舞ちゃんと行動を共にする様になった。
舞ちゃんは誰か探している人がいるらしく、私達は一度スタート地点付近に戻ってきていた。
私も澪ちゃんの事が気になっていたので出来れば探して一緒にいてあげたかった。
流石に同じ事を考える人がいるのか、ここら一帯にはいくつか人の気配がすると舞ちゃんは言った。
私はスケッチブックを持った、私と同じ制服の頭にリボンをつけた女の子がいれば教えて欲しいと
舞ちゃんに伝えた。
けど2人の探し人は見つからなかった。
「こういうゲームでは多分、どこかに隠れてじっとしているのが一番いい」
そう舞ちゃんは言った。確かに既に何度か銃声や爆音が響いている、もぐもぐ。
放っておけばある程度人は勝手に減っていくだろう。主催者の思惑通りの自滅……もぐもぐ。
「だけど……私には探さなければいけない人がいる、けどそれはきっとみさきを危険に巻き込む事になる」
舞ちゃんはゆっくりと少し心苦しそうに言った。舞ちゃんはぶっきらぼうだけど優しい。
「うん、じゃぁ探そうよその人を。もぐもぐ」
「……みさき、それは?」
「え? 鞄には食料が入ってるって言ってたから探してみたらバナナが入ってたんだよ。他にもペットボトル
とかは分かったんだけど……確か支給武器が入ってるハズなんだけど見つからないんだよ」
舞ちゃんは私の鞄を探り始める。そして今度は自分の鞄を探って何かを取り出した。
そしてその何かコートの様なものをかぶせてくれた。
「私の支給品。多分これは銃弾を防いでくれる、みさきはこれを絶対に脱がないで」
私の足下まで覆うようなロングコート、本当だ、手触りが堅い感じがする。
「凄いね、それで私の支給武器は何かな? ちょっとわくわくするよ」
「みさきの支給武器はその……」
【川名みさき】支給武器:バナナ一房
【川澄舞】支給武器:防弾コート
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