マイペース・レディ
「ん〜………どこらへんだろ、ここ」
河島はるかは辺りを見回しながら呟いた。
普通ならば暗い森の中で一人取り残されれば緊張の一つもするものだろうが、彼女は何事も無いかのように平然としていた。
この事からも彼女の性格がうかがえる。
「とりあえず休もっと」
はるかは近くの切り株に腰を降ろす。
そしてバッグの中から地図とコンパスと、一緒に入っていた板チョコを取り出した。
そのバッグには板チョコの他にも様々なお菓子が詰め込まれていた。
どうやら彼女の支給武器なのであろう。明らかにはずれの部類に入る。
だが、はるかは気にすることなく板チョコをほおばった。
「………とりあえず由綺か美咲さんと合流しないとね」
ぼんやりと地図を見ながら、はるかは言う。
このゲームに参加するかしないか、そんな事よりも、彼女は親しい友人達の事を案じていた。
とにかく会ってから、それから考えよう。
はるかはそう考えていた。
何時の間にか、自分が持っていた板チョコを食べきっていた。
おもむろに立ち上がる。
「でも、どうやって探そうかな?」
今彼女が、最初に立ち向かう難関がそこにはあった。
【河島はるか 支給武器:お菓子詰め合わせ】
【残り56人】
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