無題
私―長谷部彩の支給武器はコルトガバメントだった。
多分、当たりなのだろう。今回、銃は貴重だといっていてのだから。
・・・和樹さん。私の本をはじめて面白いと言ってくれた人。
和樹さんのおかげで15冊も売る事が出来た。・・・助けたい。
「ハァイ!」
突然、背中への衝撃。まったく無防備だった私は地面に倒れこむ。
体当たりをかましたのは宮内レミィだった。
「第一の獲物、発見ネ!武器がシャープペンシルとルーズリーフだった時はツイテないって思ったけど、こんな弱そうな獲物見つけられるなんてツイテるネ!」
綺麗なブロンドの女の子の手が私の喉にかかる。
「どう・・・して」
「Why?そんなの生き残るためヨ!それじゃ、サヨナラヨ!」
その言葉と同時に腕に力が込められた。
「・・・っ」
苦しい。なんだか、ぼんやりしてきた。
・・・あれ、私同人誌描いてる。ああ、これまだ1冊も売れなかった時だ。
走馬灯なんだろうか。
・・・これ、和樹さんとの出会いだ。和樹さんにはいっぱい助けてもらった。
・・・和樹さんを、助けたい。今度は私の番だ。
同人誌を書く時に拳銃については調べた覚えがある。
かち
安全装置をはずす。右手でグリップを握り右手人指し指をトリガーにかける。
左手は反対側を強く、押し付けるようにして銃を固定する。
狙いを定める。反動を考慮して少し下に。
「Really?」
確実に仕留める為、2発、撃つ。
顔についた返り血をぬぐいながら彩は決意する。
例え自分が死んでも、他の誰かが生き残って和樹さんを助けてくれればそれでいい。
だから、その為に私は少しでも人数を減らそう。
【宮内レミィ 死亡】 【残り56人】
【長谷部彩】 支給武器:コルトガバメント
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