戦士、再び
岩切花枝の心は、怒りで煮えたぎっていた。
思い通りにならない自分の体への怒り…
誇り高き帝国軍人をゲームの駒にした主催者への怒り…
そして、ふがいない蝉丸への怒り…
花枝の心に、五十年前幾度も叫んだ言葉がよみがえる。
「我ら!帝国軍人は!」
「生きて虜囚の辱めを受けず!」
「屈辱に満ちた生よりも!」
「誇り高き死こそ望み!」
(蝉丸…堕落したか?それとも自決も出来なくなったか?)
(主催者ども…帝国軍人にあんな脅しが通用すると思ったか?)
仙命樹の力を封じられた影響か、体は満足に動かない。
(まず、体を休められる場所を探す。可能ならばこの首輪を無力化する)
(そして…リモコンを持った男さえ殺せば、下らんゲームは終わりだ!)
支給武器は鋼線。暗殺にはうってつけの武器だ。
民家を探す花枝の目は、五十年前とまったく変わらぬ、戦士の目をしていた。
【岩切花枝】支給武器:鋼線
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