萌え、あるいは萎え






「何なのよ、これはっ! みんな、ばっかじゃないの!? なんだかイっちゃってる人も居るし!」
デカい声でぼやきながらとぼとぼと歩く高瀬瑞希。
しかしその連れは、それを咎めるでもなくのほほんとしていた。
「でもさでもさ、拘束された千堂クンのカラダ、ちょぉ〜っとグッとこなかった〜?」
「ばっ・・・ばっかじゃないのっ!?」

教室から出されて、取り敢えず建物から離れてみたものの、今後の事なんて何も考えられなかった。
そんなときに声を掛けてきたのが、この芳賀玲子さんだった。
一人で心細かったのもあるし、知り合いと合流出来る幸運を思って、同行することにしたのに・・・
この子、ちょっとヘン。

「捕まってる男のひと、いっぱい居たね」
「教室に居た女の子達それぞれの、人質なんでしょ。」
「あぁ〜、羨ましい! 私も主催者側になりたかった〜」
「あ・あ・あ・あ・・・あぁ・・・・」
もう、怒るのにも疲れた。
何にしても、これだけ騒ぎながら歩くのも危険だ。
どっかに、隠れるところ・・・あ。
「芳賀、さん。 あそこの家に入りましょ。」
「おっけ〜☆」


「あの女の子たち、こっちに来る・・・」



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