出発
神社の境内。一人の少年がパンを食べている。
少年、上杉達也は炊飯器の中に収まったパンを、ちぎっては口に運んでいく。
「ふう、うまかったな」
しばらく黙々と食べ続け、残り半分ほどになったところで手を止める。
「さて、これからどうするかな」
炊飯器をデイパックにしまいながら呟いた。
南と和也を捜す。しかし、手がかりは何も無い。
この広い島で闇雲に捜し回っても簡単には見つからないだろう。
それに今の自分はほとんど丸腰だ。
誰かに襲われたらひとたまりもない。
「……村に行ってみるか」
人を捜すなら村に行くのがいいだろう。
南や和也に会えなくても、仲間を見つけられるかもしれない。
ゲームに乗った人間もいるかもしれないが、だからといってずっと隠れてるわけにもいかない。
そう結論付けると、達也は立ち上がり、
「よし、行くか」
一番近くの村、平瀬村へと歩き出した。
【E−2・菅原神社/ゲーム開始から一時間経過】
【上杉達也@タッチ】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】荷物一式、ジャぱん2号・炊飯ジャーぱん(炊飯器入り、半分消費)
【思考】1、平瀬村に行く
2、南と和也を捜す
3、なんとかして脱出する
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