敗北という名の真理
抵抗できなかった。
チェスの一員として、戦闘力では一般人のそれを遥かに凌駕すると言う自信があったのに実戦ではまるで歯が立たなかった。
相手が強すぎた。
ARMが無かった。
知らない武器を渡された。
全て言い訳だ。
チェスの戦闘階級最上位『ナイト』のイアンにとって負けは許される事ではない。
イアンのプライドが、『ナイト』としてのプライドが、先の戦闘での負けを認めなかった。
「許さねェ」
あの化け物を。
抵抗出来ずに負けた自分を。
必ずこの黒星を白く塗り潰す。
イアンは自らの魂深くまで、その事を強く刻みこんだ。
しかし、実際的な問題として、あの化け物は強い。今のままでは勝てない。
許さないという心情とは裏腹に、勝てないという絶対的真理にも似た事実が突きつけられる。
生存者が唯一人に限られたこの島内。
お互いに生き残っていれば、いずれは再び闘うであろう。
その時、もし自分が今のままであれば、間違いなく殺される。
勝つためには力が要る。
何者にも負けない絶対的な力が要る。
そう、かつてウォーゲームで見たガーゴイルのような絶大無比な力が。
この戦いに勝利し、ギドの笑顔を手にするのは自分以外にいない。
負けられない、イアンには帰りを待つ恋人がいるから……
【G-4/早朝】
【イアン@メル】
[状態]全身に軽度の裂傷
[装備]ニューナンブ式38口径の拳銃(残弾3/5)
[荷物]荷物一式(食料&水二日分)
[思考]1.生き残ってギドに会う。
2.強大な力を手に入れる。
3.化け物(とら)に復讐する。
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