四次選考開始?
青い空、白い雲、輝く太陽。そんな絶好のサイクリング日和だからか、心地よい風を切って
山道を駆け上ってゆく自転車が一台あった。それはハンドル前にはカゴ、座席後部には荷台が
着いたタイプのシティサイクル、俗にママチャリと呼ばれる自転車。割と急な坂だというのに
ペダルを漕ぐ植木耕介は息切れする様子もなく、どちらかといえば楽しそうに山道を上がって行く。
山の中程まで来ただろうか、植木が麓の方を見ると木々の緑と海と空の青が何とも言えぬ風景を
醸し出していた。
「いー天気だー。こんな時に喧嘩なんてしてる場合じゃないよな。モグモグ、ゴクゴク」
一人で勝手に納得して水を飲み、朝食代わりの食料をかじる少年・植木耕介は現状を詳しく
理解していない。元々細かい事は気にしない性格、というか人の話を説明をよく聞かない性格である。
今回もゲーム開始時の説明をほとんど聞き漏らしていた上に、惨殺された少女の件も蚊帳の外。
正義感の強い少年だけに、状況を知っていればこんなセリフを吐く事もなかっただろう。
バロウとの激戦を征したばかりの植木は、神の座を巡るバトルの四次選考が始まったとばかりに
思っていたのだ。
「とりあえず森達を捜して、どうすっか考えるか」
どうやらルールどころか名簿すら見ていないらしい。ランダムアイテムとして与えられた自転車も
深い考えもなしに使っているだけのようだ。良く見れば泥除け部分に『日暮かごめ』と持ち主の
名前が書かれている事にも気が付いていないだろう。
「頂上まで行けば、誰かいるだろ」
自転車に跨ったままの食事を終えた植木は、バトルに備えて食料の包装をポケットに仕舞い込む。
ここは自然が綺麗でゴミが落ちていないからだ。
そして植木耕介は、再び山の頂上を目指してペダルを漕ぎ始めた。
【G-8山道/早朝】
【植木耕介@うえきの法則】
[状態]健康
[装備]かごめの自転車@犬夜叉
[荷物]荷物一式(食料&水二日分、一食分食べた)
[思考]1.仲間の捜索
2.とりあえず山の頂上へ行ってみる
[備考]ゲームを四次選考と勘違いしている。
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