一寸先は闇か閃きか
唐突に放り込まれた理不尽なゲーム
目的も主催者についても殆ど情報がないこの状況で
彼はまず『情報』を求めた。
主催者の情報、この胸に巣食う魔物、他の参加者の情報、集めるべき情報は非常に多い。
このゲームを脱出する、もしくは中止させる方法について思考を巡らす。
( 主催者を倒せばこのゲームは終わる
主催者を倒すには胸や宙にいる魔物をどうにかしなければならない
この胸の魔物をどうにかするには…やはり他の参加者やアイテムの力が必要だろうな。)
あの参加者の中には明らかに人間ではない者も多く混じっていた。
いや、魔物ですらない者も多いだろう。
参加者の中には、この魔物に対して有効な知識や術などを持っている者もいるのではないだろうか。
( しかし・・・ここは本当に日本か? )
たしかに地図や周囲の建築物、植物を見るかぎりここは日本らしいが、
こんな大掛かりなことをあんな魔物(と、しておく)がやって、島の外にいる者達にバレないものなのだろうか。
( 力を隠す術や仕掛けでもしているのか?ただ単に隠していないのか?本当にここは日本なのか? )
それにあの魔物も、あの広間にいた大勢の者たちも、まるで『別の世界から連れてこられた』ような人間(+α)ばかりだった。
まぁ、魔界から来た魔物も色々とバラエティに富んだ姿形をしていたが。
更に自分に支給されたこの『魔導具:門構』『魔導具:無名』という支給品。
同封されていたメモによれば
『2つを組み合わせることにより、門構えの部首を持つ漢字が意味する効果を引き起こす』という力があるらしい。
今の人間にはこんな物を作る技術力は無い。
それに魔界には魔界の文字がある。つまり、これは魔界でも人間界でも作られたものではない。
これらのことから、参加者の中には自分の知っている世界とは違う世界から連れてこられた者もいるのだろう。
( 勉強は得意だったが、まさかこんな時に役に立つとはな… )
どの程度のことができるのかはまだ分からないが、できるだけ早く試してみたほうがいいだろう。
少しばかり思案した彼は、
手甲のような魔導具を右手に嵌め、目と鼻の先の海岸へと歩き出した。
もしかしたら(胸の魔物を無視すれば)そこから脱出できるかもしれない。という思いと、
何か漂流物が流れ着いてはいないか。
もし流れ着いていたらそれらから何か推測できないだろうか。という期待を込めて。
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糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が糞が
今まで私の心臓は奈落の手に握られていた
そして奈落のいないこの世界ではあの巨大な化け物に握られている
いや、奈落が今握っていないわけでもないから、二重に握られているというわけか
しかし、もしかしたらこれは奈落の手を引きちぎる唯一の機会かもしれない
『最後まで生き残った一人にだけ、元の世界に戻る権利を与えましょう。そして、望む褒美も』
こんな化け物の言うことなど信用できないのは百も承知だ。
箱の中で虫同士を殺し合わせる呪いのように、最後に生き残った者を喰う気かもしれない
だがそれがどうした。ただ死を待つ気も、あんな桁違いの強さの化け物に無謀な戦いを挑む気もしない。
百に一つでも生き残る可能性があるのなら、そちらを選ぶまでだ。
そして ――― 獲物を見つけた
走って10数えるほどの距離。
15ぐらいの年の男。
男から妖気は感じないが、手に嵌めている手甲から僅かに妖気のようなものを感じる。
相手はまだこちらに気付いていない
──────── 殺 る か ?
【H-3 中央/早朝】
【高峰清磨@金色のガッシュ!!】
[状態]健康
[装備]魔導具「門構」+「無名」@烈火の炎
[荷物]荷物一式(食料&水二日分)
[思考]1.海に行く
2.色々と調べる
3.情報を集め、ゲームを中止させる。
.
【H-3 中央/早朝】
【神楽@犬夜叉】
[状態]健康
[装備]不明(本人は確認済み)
[荷物]荷物一式(食料&水二日分)
[思考]1.殺るか?
2.ゲームに優勝し、奈落から自由になる。
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