バリアフリー
「さてはて、どうしたものかね」
海岸線沿いの道をぶらぶらと歩きながら男はのんびりと呟く。
サングラスに派手なアロハシャツという出で立ちで、両手をポケットに
入れたまま歩いているさまは観光地を散歩している旅行者の様である。
緊張感の欠片も無い様子だが、男は実はかなり困っていた。
(体調は良好、“遠隔透視”は封じられているがそれ以外の空間操作は
支障なし。最も、主催者に“力”を押さえ込まれている感じがするから
連続してやれるかはちと不安だがね)
問題は、と型にかけたデイバッグにちらりと目をやる
「まったく、点字ぐらいつけといてくれよな。」
サービスが悪いな、と愚痴をこぼす。
そう、この男・ジェームズ・ホワンは目が見えないのである。
そのために地図も分からず、名簿も読めず、さらには支給されたランダム
アイテムの説明書も読めないのだ。
「とりあえず、誰か他の参加者を探すかね。」
素直に協力してくれそうなお人よしなら、地図や名簿を読んでもらおう。
こちらを騙して利用しようとする相手なら、読んでもらった後でさらに他の
参加者を探し出し読んでもらえばいい。二人以上に読ませれば真偽の検証も
可能だ。
協力的でない参加者なら手足の一つでも潰して無理やり読ませればいい。
そんな風に物騒な事を考えながら、ジェームズ・ホワンはぶらぶらと海沿い
の道を歩いて行った。
【D-1 海岸沿いの道/早朝】
【ジェームズ・ホワン@ARMS】
[状態]健康・盲目、遠隔透視が使えず空間操作も若干制約あり
[装備]不明(本人は形は確認済み)
[荷物]荷物一式(食料&水二日分)
[思考]1.他の参加者を探して名簿・地図などを読んでもらう。
2.非協力的な相手は痛めつけて無理やり協力させる。
備考:ホワンは名簿・地図・説明書などが読めません。
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