カゲロウデイズ






商店街の一角、異彩を放つ小さなスポーツ専門店にて、銀髪の青年は両目を固く閉ざしていた。
どんな事象さえも彼には影響を及ばさない、そう錯覚しそうな神聖さにも等しい雰囲気を醸し出している青年の姿は袴姿で、しかしそれが何の違和感もなく、むしろ似合っている。
そうして手を伸ばし、おもむろに一本の木刀を掴み取った。
目を開き両手でそれを吟味するように手で撫でると、満足げに彼は頷いた。
彼のような剣道馬鹿にとって、銃やナイフよりも剣の方が余程扱い易いというもの。

「済まない、理樹。俺はリトルバスターズだろうとも殺す。そうやって戦うことにする」

宮沢謙吾は精一杯の冷静さを取り繕って、宣言した。
参加者名簿に記載されている中には、彼のかけがえのない友人たちの名前もあった。
幼い頃から付き合ってきた連中だけでなく、新入りのメンバーだって失いたくないと心から思える。
だが、謙吾たちは現在進行形で運命の袋小路に囚われているのだ。
バトルロワイアルより以前に、修学旅行の道中で大事故に遭ってしまうことが確定していることを、幾度も想いで世界を繰り返してきた謙吾は知っている。
二人の親友の心を、自分たちがいない世界でも生きていけるように強くする。
その為に彼らのリーダーは戦っていたが、謙吾は仮初めのものであろうと、世界が続くことを望んだ。
しかしそれも、ここでおしまいだ。
この悪夢のようなゲームから脱出し損ねれば、リトルバスターズは誰一人として生き残れない。
主を失った世界は緩やかに終わり、何も残らないだろう。

「恭介……お前なら、選べるだろう? 俺たちの到るべき道を」

棗恭介――いつだって謙吾たちの中心だった青年。
誰よりもリトルバスターズを愛し、誰よりも元の日々が戻ってくることを望んでいた彼ならば、すべての参加者を殺害することで、現実をねじ曲げる結論に辿り着ける筈だ。
時にどこまでも冷酷になれるあの青年なら、やってくれるだろう。
謙吾も優勝を目指し、リトルバスターズの誰か一人でも生き残れればそれでいい。
たとえ――世界を敵に回したって、かまわない。


【C-3 商店街スポーツ用品店/未明】
【宮沢謙吾@リトルバスターズ!】
【装備:木刀(現地調達品)@現実】
【所持品:支給品一式、ランダム支給品×3】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本:自分もしくは棗恭介を優勝させ、運命を打ち破る
1:リトルバスターズの面々であろうとも容赦はしない
【備考】
※Refrain開始直後からの参加です



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