我が女神に捧げろ団子






絶望した!!


フェリスは、未だかつて無いほど絶望していた。


それは、この殺し合いに巻き込まれたから?

NO! NO! NO!

それは、フィブリゾに首輪をつけられ、命を握られているから?

NO! NO! NO!

…じゃあ、団子を全部奪われたから?

YES! YES! YES!




このゲームが始まって、フェリスが最初にしようとしたのは、団子食べる事だった。
フェリスの団子好きは異常なほどだ。

三度の飯より団子が好きで、『団子は完全無欠の栄養食だ』と言っては、団子ばかり食べ、
団子を馬鹿にしようものなら、首に剣を突きつけ『どうやら死にたい様だな』と言い出す。
お気に入りの団子店の経営が苦しい様なら、ライナの名義で多額の借金を繰り返す。
金や栄誉よりも、団子によって買収される。
そんな彼女の将来の夢は、無論団子店を経営する事である。

フェリスは当然の如く、ルール確認や支給品の確認よりも、団子を食べ様としたのだが…
ザックの中には団子なぞ、一本も入っていなかった。

その事実にフェリスは絶望した。

今までの人生の中で、これほど絶望した事は無かった。

フェリスの表情は、特に親しい一部の人間しか読み取れない。
そのフェリスが、初対面人間ですら一目で判るほど、絶望的な表情をしているのだ。
彼女の受けたショックが、どれほど大きかったのか推して知るべし。

(団子が無いだと!? …おのれフィブリゾめ、私に餓死しろというのか)

ちなみに、パンは普通に支給されている。
それを食べるという選択肢は、今のフェリスに無い様だ。

(まだだ、まだ何か団子を得る方法はあるはずだ)

のろのろとした手つきで、ザックを漁った時に出てきた地図に手を伸ばす。
フェリスは眼を皿の様にして、地図を見る。
しかし、団子店は見つからなかった。


すなわちそれは  絶  望  だ!!


希望は潰えた。


「済まないライナ、シオン。どうやら私はここまでよう……ん?」

地面に手をつき、そのまま倒れこもうとした時、ふと、それが視界に入った。

ランダム支給品一覧表

藁にもすがる気持ちで、フェリスはページを捲っていく。

「お、おお…」

フェリスは感嘆の声を上げていた。

そこにはあったのだ。希望が。

ウィニットだんご店『おすすめ詰め合わせセット四番』100個

団子がある。
そうと判ったフェリスの行動は早かった
散らばったザックの中身を片付け、もう一つの支給品である剣を腰に下げる。
何処に行けば団子持った人物に会えるのか、当てなんてまったく無かった。
しかし、迅速に行動を起さなくてはならない。
これは時間との勝負だ。

食べ物と言うのは、一部を除いて出来た直後が最もおいしい。
時間が経てば、鮮度が落ちる。
保存状態が悪ければ、さらにだ。
そうやって、味か落ち不味くなった団子を食べても意味が無いのだ。

それになにより、ウィニットだんご店の団子は、フェリスの知る限り最高の団子だ。
自分が見つけるまでに、全部食べられてしまう。
そんな、悪夢の様な展開もありえるのだ。
それだけは、なんとしてでも避けなければならない。

そしてフェリスは団子を求めて歩き出した。

【F‐6/平原/一日目/朝】

 【フェリス・エリス@伝説の勇者の伝説】
 [状態]:健康
 [装備]:ブラストソード@スレイヤーズ
 [道具]:支給品一式。
     ランダム支給品一覧表@オリジナル
 [思考]:
    基本:団子を持っている人物をさがす。
   1:団子を持っている人物をさがして、団子を全部譲ってもらう。
   2:譲ってもらうのを拒否されたら、力づくで奪い取る。
   3:襲ってくる奴は返り討ちにする。



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