黒と赤の出会い
出会ったのは偶然にして、突然。
「さて・・・いきなりですみませんが、貴方はこの殺し合いに乗ったのでしょうか、クラウ・クロム元帥」
漆黒の長髪、冷たい瞳をした男――ミラン・フロワードは、相対した目の前の男に向かって、そう言い放った。
「あぁ? ・・・てめぇ、この俺がこんなふざけた殺し合いに乗ると、本気でそう思ってやがるのか?」
ミランと相対した、赤髪赤眼の筋肉質な男――クラウ・クロムは、眉を吊り上げ犬歯をむき
出しにしながら答えた。
「はい、愛しいノア・エン嬢の下に戻る為、私達を皆殺しにするのではないかと、疑っております」
二人はローランド帝国に所属する軍人である。
お世辞にも仲が良いとは言えず、どちらかと言えば犬猿の仲と言ってよいだろう。
だが、お互いに相手の性格、力量、そう言った諸々の事柄を大体は把握している。
(・・・さて、どうでます)
ミランは、クラウが何時襲い掛かってきても対処できるよう、腰に下げた剣を握り、ほん
の僅かな挙動も見逃さぬよう、注視した。
正直な話、自分が目の前の男と戦って勝てる確立は、現在三割程度と考えている。
黒叡の指輪――自らの影から漆黒の獣を無数に呼び出し、操る事ができる強力な武器。
それが今手元に無い。それだけで、自分の戦闘能力はかなり低下している。
これさえあれば、目の前の男に決して遅れをとる事は無いのだが。
互いの魔法の技量は互角、格闘能力は相手が上。
自分の支給品は、当たりではあるがなれない武器で戦って勝てるほど、眼の前の男は甘く
ない。彼の支給品も当たりであると考えた場合、アドバンテージは無いものと考えていいだろう。
そして何よりも厄介なのは、魔方陣の刺青を施された彼の右腕である。
かつて、ティーアという魔眼の持ち主に食いちぎられた筈の右腕が、何故か元に戻っているのだ。
かつて、近隣諸国から恐れられた彼の右腕が。
だが、彼を見つけてしまった以上、リスクを犯してでも接触する必要があった。
もし彼が、この殺し合いに乗っていたら、自分の目的を妨げる強大な敵となる。
早急に排除する必要があるのだ。
しかし、殺し合いに乗っていなかったら?
それは、とても心強い味方を得る事になる。
ある程度、相手の性格などを把握しているからこそ、まったくの赤の他人より信用できる。
仲間を増やし、利用し、場合によっては裏切りもする。
自分は死ぬわけにはいかない。
自らの主であるシオン・アスタールを生き残らせる為にも。
【F‐7/森/一日目/朝】
【ミラン・フロワード@伝説の勇者の伝説】
[状態]:健康、警戒
[装備]:コクルトの剣 @魔術師オーフェンはぐれ旅
[道具]:支給品一式。支給品(本人は確認済み)
[思考]:
基本:シオン・アスタールを脱出させる、出来なければ優勝させる。
1:クラウが殺し合いに乗っていたら殺す。
2:殺し合いに乗っていなければ、自分に協力させる。
3:1が無理なら逃げる。
4:シオン・アスタールを探して合流する。
【クラウ・クロム@伝説の勇者の伝説】
[状態]:健康、ミランに対しての怒り、戸惑い
[装備]:未確認
[道具]:未確認
[思考]:
基本:生き残る。
1:ノア・・・俺はこの殺し合いに――
備考:クラウの右腕は、呪詛義手ではありません。
クラウが殺し合いに乗るかどうかは、次の書き手さんにお任せします。
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