無題
釜谷海水浴場で一人男がたたずんでいた。その男はまだ月で暗く光る意味を見ていた。
「やっぱ海はいいわ」
独り言。が、その言葉はこのゲームの参加者とは思えないほど力があふれていた。
その男は桑田圭祐、さまざまな名曲を生み、頂点とどん底も味わったことがある人だ。
しかし何でこんな目にあうかな。いくらなんでもこりゃねぇよ。
少し笑うとまた暗い海を見つめなおす。
落ち着くなぁ。今まで腐るほど歌うとさすがに愛着もわくか。
ふと何かを思い出したかのように閣下に渡された荷物を探る。
そういえば武器の確認してなかったな。何入ってんだろ。
何か冷たい感触、鉄に触れる。引っ張り出すとそこには数回だが見たことのあるものが入っていた。
拳銃。もしこれを引いたのが若手なら少しの安堵感か緊張感があったのかもしれない。
デーモンかサーモンかしらねーけど粋な事してくれんじゃねーか。
伊達に何十年も活動していない。歌詞カードの撮影で触ったこともある。
それを手におさめてみる、するとまた何かを思い出したように歌を口ずさんだ
「♪BAN BAN BAN Oneday Wearin' so Many wears So many chapeaux」
ちょうどいい歌があったから歌ってみただけ。が、そんな些細な事でも十分リラックスはできた。
別に誰かを撃ち殺したいわけでもないし、殺されたいわけでもない。
言われた通りの道を通って言われたとおりの目的地に着いてやる義理はないだろ。
どろどろの田んぼを通ってでも別の目的地についてやる。
まだ俺はべっぴんさんと舞ってたいしな。
そう意志を固めるとごくごく自然にその目的地は浮かび上がってきた。
待っとけサーモン?あぁ、デーモン。
【釜谷海水浴場/深夜】
【11番 桑田圭祐】
[状態]:健康
[装備]:コルトガバメント
[道具]:荷物
[思考]:1.閣下の暗殺
前話
目次
次話