無題
「あーもうっ!なんであたしが参加しなくちゃなんないのよ!!」
ここは丸山の中腹辺り。月明かりに少し背の低い女の姿が映る。
少し西洋の血が混じっているであろう美しい顔は嫌悪に染まっていた。
誰が何と言おうとあたしの本職はモデルであって歌手じゃないのよ!?
あのデーモン…小暮?とか言う男は雑誌も読んだことがないのねっ!マルチタレント名乗るくらいならその辺の事も知ってなさいよ!!
ああ、こんな事なら音楽活動なんかやってるんじゃなかったわ。確かに民生さんの作った曲を歌えるなんて、とっても、とーっても嬉しかったけどさ
…って、ここでくよくよしてても仕方がないわね、ふん。
武器は何かしら。武器。
彼女はしゃがみこむと足元に置いたナップザックを開ける。
すぐに見えたのが少し大きめの箱だった。上には走り書きで【G−444】と書かれている
彼女はやる気持ちを抑えつつ、箱を開けた。
「…ダーツセット!」
かなり高そうなゲーム盤とケースに入ったダーツ矢が12本、そして矢のパーツ(取替え用かな?)が12個ずつ。
…超近距離用だけど、殺傷能力は一応あるわね。ゲーム盤は弾除けにでも使えるかしら。
まあ、原作の主人公の武器は確かブーメランだったからそれよりはマシよ。女の方は忘れたけど!
ああ、とってもウザイ。イライラするわ。早い所帰りたい。で、綺麗な服着ておいしい物食べたいの!こんな所で食べるパンが最後の晩餐とか考えられないし。
とりあえず人を探そうかな。脱出するにしても人を殺すにしてもまず誰かいないとね。
ふと横を見ると狸が走り抜けていった。前を見ると一筋の明かりが見える。
その光はすぐに消えてその光の持ち主であろう人物の足音が遠ざかる。
「おもしろいじゃないの」
彼女は、木村カエラはにやりと笑うとその足音の方へ歩みを進めた。
…平原綾香はもちろんそんな事は知らない
【場所/時間帯】
丸山(エリア21)/深夜
【09番/木村カエラ】
[状態]:健康
[装備]:ダーツセット【G-444】
[道具]:支給品一式
[思考]:1.誰かと合流
【G-444】
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