G2






「ねんがんの アイスソードをてにいれたぞ!」

一面、荒廃に満ち溢れ殺伐とした大地に、高らかに声を上げる一人の男がいた。
男は手にした刀剣を天に掲げ、喜びいっぱいにした表情でその剣『アイスソード』をまじまじと見つめていた。
その顔はまるで宝物を手にしたようだった。
ガラハドは色々な角度からその剣を眺め、色々な角度からその剣を振った。

ローザリアという王国生まれの聖戦士「ガラハド」は気心の知れた人物として、仲間からは厚い信頼を受けている。
剣術・格闘に優れ、豪快そうな外見をしているが、真面目で繊細な部分もあり、冷静な判断力も兼ね備えている。
そして、なぜかアイスソードにたいして、異常なまでに固執している。

何故ガラハドがアイスソードをそんなに欲しがっている理由としては、自分が仕える王国への奉公の為だと言われているが、
一説では、仲間の女魔術師の気を引き、恋敵である別の仲間を殺す為だとも言われている。

「この剣があれば……」

そこから先を彼は言わなかった。
ガラハドが何を言おうとしたのかは想像にまかせるしかない。

「とにかく今は一刻も早くこんな殺し合いをやめさせるべきだ!
『バトルロワイアル』だと、ふざけるな!人の命を弄ぶなど…許さん!断じて許してはならぬ!!
俺はこんな残虐な行いには乗らん!あの若者の目を覚まさせなければ!」

ガラハドは歩み始めた。右手に構えるアイスソードと共に。
彼の心の中に一瞬、何か怪しいものを感じたが今は違う。
純粋な正義の意志が彼を動かしているのだ。
荒れ果てた荒野を進む彼のまなざしはとても逞しく見えた。



「ほっほっほっ そこのあなた、すいませんがちょっと待ってくれませんか」

突然の後ろからの呼び掛けにガラハドは歩みを止める。

死神の足音が近づき始めていた……

「誰だ お前は?」
「ほっほっほっほっ 私のことをご存知ないようですね。
いいでしょう、教えてあげましょう。
私はゲマ、偉大なる光の教団の幹部ですよ。」
「知らないな」
「そうですか、ほっほっほっほっ」

ガラハドが振り向いた先には、ローブを纏った禍々しい雰囲気の祈梼師のような姿をした人だった。

「ところですいませんが、その剣、私に譲ってくれませんか?」
「すまんが、この剣は私が血眼になるほどのものだ。誰かに渡すことなんて絶対にできん。」
「そうですか……もし素直に渡してくれるなら命までは取らないであげますよ。」
「な、なんだと!?」
「どうです、素直に渡したほうが身の為ですよ。
もっとも、私の邪魔になっても困るので、五体不満足の体にはなってもらいますがね。ほ〜ほっほっほっほっ。」
「ふざけるな!誰が貴様なんぞに渡すものか!」

一触即発、といった状況。
ガラハドはアイスソードの柄を強く握り、目の前の敵に臨戦体勢をとる。
一方のゲマは不適な笑みを浮かべたまま瞳に相手を映す。

「どうしてもですか?」
「あたりまえだ!」
「なら仕方がありませんね……」

 ゲマはどうする?

 『そう かんけいないね』

 『殺してでも うばいとる』

 『ゆずってくれ たのむ!!』

(……………)

→『 殺 し て で も  う ば い と る 』

「死になさい!!」

その瞬間ゲマの掌から火球が生まれ、ゲマはそれをガラハドに向けて放った。
放たれた火球はすぐさま、ガラハドの全身を激しく焼き尽した。

「な なにをする きさまー!」

これがガラハドの最期の言葉となった。

「ほ〜ほっほっほっほっほっほっほっほっ
まったく、私の言う通りにしたほうがまだ良かったものを…馬鹿ですねぇ〜。
では、この剣は私がもらっていきますよ。」

ゲマは黒焦げた焼死体となったガラハドの側に置いてある、アイスソードを手にする。

「中々強そうな剣ですね。護身用にはなるでしょう。
ん、これ意外に思いですね…私にはとても扱えるものではない…
いらないからここに捨てておきましょう。
可哀想に、そこのあなた死に損でしたね。ほっほっほっほっ」

ゲマはアイスソードを捨てた。

「それに武器などなくても、この私の魔力の前に立ちはだかる者などいませんがね。
私がこの地を焼け野原にしてあげましょう!
ほ〜ほっほっほっほっほっほっほっほっ」

【ガラハド 死亡確認】
【残り64人】

【G-2(パサパサ荒野)/一日目/深夜】
【ゲマ@ドラゴンクエスト5】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本方針:参加者全員殺す1:護身用の武器が欲しい(手段は問わない)
【備考】
ガラハドの支給品は焼失しました。
アイスソードはG-2に捨ててあります。

【アイスソード】
出展はロマンシング サ・ガ。
氷の力を封じ込めた伝説の両手大剣。



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