トランスフォーム
――窓から太陽の光が射している。
空に舞う大量の埃が光に照らし出され、思わずそれを手で払った
…ここは人が住み着かなくなってから結構時が経過しているようであった
現に、床の汚れや朽ちて、崩れかけの家具が目立つ。
――そんな部屋に彼…バレットは居た。
端から見たら、それは巨大な岩が動いてるように見えるかもしれない…
日焼けにより浅黒い色をした肌。膨大な質量の筋肉。
これらは、過去の彼の過酷な肉体労働の日々を象徴するものだ。
「なんなんだ此処は…街みてぇだが」
光が差し込んでいる窓に顔を近づけ、外の景色を眺める。
同じような民家が道に沿い、いくつも並んでいた。普通の、なんの変哲も無い町だ。
正し、人っ子一人見当たらない点を除けば、だが
この異様な状況。決していつもの日常では、無い。
(…あの仮面の男は“殺し合え”と言った。
ふざけた冗談だと思っていた…人が殺される前まではよ…)
ふと首に冷たい感触を感じる。この首輪がある限り、逃れられない
だが、殺し合いなど絶対にする気は無い。
どうにかして仲間を集め止めさせる。あわよくば…あの主催者を殺す。
これが彼の考えた事であった。そのためには信頼できる、有能な仲間が必要だ。
――不意に顔が浮かんでくる。かつて、共に敵と戦った仲間達の顔が。
クラウド、ティファ、シド、ヴィンセント…そしてエアリス。
「もう、誰も死なせねぇ。あんな事は…繰り返しちゃならねぇ!」
(クラウド…アイツは少し性格に難があったが、戦力としては非常に頼りになる。
アイツもこのゲームに呼ばれてりゃ、の話しだが。…呼ばれてない方が良いか
そしてセフィロス。アイツも今回の件に絡んでいるのか…?)
そこまで思考し、彼は立ち上がった。
状況が状況なだけに、行動はなるべく早くした方が良い。そう思ったからだ。
(まずは…この支給されたザックの中を確かめてみるか)
ザックの口を開け、その太い腕を突っ込み中を漁り出した。
…まず出て来たのは、斧。パワーファイターの彼には打ってつけの武器だ。
(右腕のギミックアームが無い分、戦闘はコレ一本で乗り切るしかねぇ…)
そして次に出て来たのは、モーグリ…の着包みだった。
(ハァァァ!?こんなモンでどうしろってんだァ!!)
あの主催者の悪い冗談か。それとも自分の運が悪かっただけか。
どっちにしろ、不機嫌になる。憎たらしそうに、着包みを睨む。
…するとなんだか不思議な気分になってきた。
何かが、心の底から湧き上がってくるような――
(いや、まさかな…そんな馬鹿なことが…)
そして…一瞬意識が遠退き―――
次の瞬間、彼はその着包みを着用していた…!!
「クポッ!?…こんな状況の時に、モグは一体何やってんだクポ…」
この着包みは驚く程、サイズがバレットの体にピッタリだった。
まるで彼の巨体に合わせて作られたかのような――
「まぁ、こんなんでも防御はマシになるだろう…クポ」
…?
「なんかさっきから変な感じが…するクポ」
………!?
「ク…ククク、クポォォォッ!?」
【G-5/街の民家/朝】
【バレット@FF7】
[状態]:健康
[装備]:ポイズンアクス、モーグリスーツ(残りの支給品は不明)
[道具]:無し
[行動方針]:仲間を探す。最終的にはゲームを破壊。
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