無題
「まさか最初に会うのはお前だとはな」
全身鎧を身に着け、弓を構えた男が、目の前の白装束の男に話しかける。
「私はどこまで行っても敵国と戦う運命のようだ」
「何を言っている。このような所に連れてこられた以上、国など関係ないはずだ」
白装束の男が返事を返す。その男、フィン王国の白魔導師ミンウ。
「言い方が悪かったな。私は生き延びる為に戦う。最初に敵国のものであるお前と
会ったことが運命のようだ」
全身鎧の男。パラメキア帝国に属し、その戦果からキャプテンの位までのし上がった者。
「運命、か。私にはそのような運命は見えない」
相手の言葉を否定し、ミンウは言葉を続ける。
「聞いておこう。お前は殺し合いをせずにここから抜け出す方法を模索する気はあるか?」
言い終わると共にキャプテンはミンウの足元に矢を放ち
「戯言を。あったとしても、フィンの者であるお前と協力するなど考えられん!」
「…戦うしかないということか」
ミンウは盾を構え、目の前の鎧の男を睨みつける。
「最初からそれしかないのだ。それが此処に連れてこられた者たちの運命だ」
新たな矢を構え、両者は戦闘準備を取る。
「合言葉を言ってみろ」
「合言葉は…フィン王国の紋章…。野薔薇」
「きさま はんらんぐんだな!」
キャプテンの弓からミンウに向かって数本の矢が撃たれ、ミンウは装備した盾で回避する。
「ブリンク6!」
次の攻撃に備え、ミンウは防御魔法を展開し、ミンウの体の周りに幻影が生じる。
気にせず矢を放つが、全てを回避される。
「先ほど、戦うしかないといったが」
ミンウが突然口を開く。
「今の私に戦う意思はない。いや、戦うことが出来ないといったほうが良いだろうか」
「…どういうことだ?」
「こういうことだ」
攻撃を続けるキャプテンの足元に、小さな玉を投げつける。
地面に着くと同時に炸裂し、あたりに煙が充満する。
「これは…!!…貴様!逃げる気か!」
キャプテンの声に返事はない。
急いで煙から抜け出し、辺りを確認したが白魔導師の姿は見えなかった。
「…やられたか」
まんまと逃げられたことに歯噛みし、辺りを警戒する。
まだ煙の中や周りから魔法が飛んでくる確率は0じゃない。
結局、煙が晴れるまでにミンウの攻撃は来なかった。
辺りに散らばる矢を回収し、キャプテンは考える。
一度戦争で敗北した身である自分はこの戦いの場に呼び戻され、偶然にもフィン王国
のものと再び戦った。
これは運命だろう。
このゲームの勝者にはどんな願いもかなえてやると言っていた。
これも運命だろう。
願いは一つ。皇帝陛下の再来。そして、パラメキア帝国の再建。
そのために、全ての者を殺す。あの白魔導師も例外ではない。
「皇帝陛下のためにも…この戦い、勝ってみせる」
(なんとか逃げられたか)
辺りを見回し、誰もいないことを確認するミンウ。
不運なことに自分の支給品はミスリルの盾と数個の煙球。
この煙球もポールの自慢話を聞いていなければ使い物にはならなかっただろう。
武器もなく、攻撃魔法もない今の状態では逃げることしか出来ない。
一応間接的な攻撃魔法であるチェンジがあったが、成功率は低く
万が一成功しても自分のMPと相手のMPまで交換してしまう。
おそらく、あの男は魔法が使えない。
(誰かこの戦いに乗っていないものが見つかると良いが)
白魔導師の本業、味方の補助にかけては自分に並ぶものは居ないと自負できる。
そのためにも、誰か仲間を探す必要があった。
(他人の運命は見えても自分のものは見えない、か。私はこの先どうなるだろうな)
地図を広げる。どうやらG-5の街が近いらしい。
彼は、その町に向かい歩き出した。
【F-6/草原/朝】
【キャプテン@FF2】
[状態]:健康
[装備]:弓と矢(500)
[道具]:なし
[行動方針]:参加者を全員殺し、皇帝を復活させる
【ミンウ@FF2】
[状態]:健康
[装備]:ミスリルの盾
[道具]:煙球(6)
[行動方針]:ゲームに乗ってないものを探す
[備考]:G-5へ向かう
*キャプテンの次の行動は次の人に任せます
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