FFAP第二話B『帰還』






「それで…彼は今どこに?」
俺は混乱する頭を抑えながら尋ねた。
「奥の部屋で眠っておる。最初発見された時はひどく衰弱していたが、今はなんとか持ち直して回復に進んでおる。もっとも、まだあれこれ聞ける状態ではないがな」
長老はそこまで言うと、一旦言葉を切り、しばしの間押し黙った。そして次の瞬間、俺にとっては予想外の事を口走った。
「それでな、君に頼みとは…彼をバロン王国のローザ女王のところまで連れていって欲しいんじゃ」

何故バロンに?
そんな俺の疑問に答えるかのように長老は語った。
「あの日以来、各世界に次元の門が現れたのは君も知っておるだろう?
 この世界ではな、それがバロンに現れたんじゃ。
 最初は不安定だった門も今は安定してな、今では望んだ世界にいけるようになった。
 それから一度各世界の代表者が話し合ってな、もしどこかの世界で行方不明になった者が現れたらその世界の代表、ここではローザ女王に報告し、それから他の世界の代表に報告することが決められた。
 もしかしたら他の世界でも現れるかも知れないからな。
 それに、最近は物騒じゃ。君は剣も魔法も使える。これ以上の適任者は我がミシディアにはいまい」
どうやら俺には断る権利はないようだ。
「…分かりました。」
「うむ。彼は明日には目覚めるじゃろう。だから…」
長老がそういいかけた時、奥の部屋のドアが開いた。



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