FFAP第三話B『覚醒』






最初に感じたのは、どこか癪に触る笑い声。
それを聞いて、俺はゆっくりと目を開けた。
最初に目に飛び込んで来たのは道化師みたいな格好をした男だった。
そいつはやはりムカつく声で何かを話し、それが終わると同時に見覚えがあり男が叫びながら飛び出していた。
そいつは、セフィロスだった。
セフィロスは、道化師に抱き付き、何かを叫終えてからメテオを唱えた。
彼が呼び出した隕石が目の前にせまり、そこで記憶は途絶えた。
気付くと、俺はどこかの海岸に倒れていて、何人かの人が俺の元に駆け寄って来た。
何故こんなところにいるのかわけのわからないまま俺の意識は途絶えた。
そして今、俺はどこかの部屋で寝かされていた。
隣の部屋からは話し声が聞こえる。
俺は今にも飛びそうな意識をなんとか押し留めつつ、ドアを開けると、長い黒髪の男と老人の姿が目に入った。
二人ともひどく驚いたようだったが、すぐに若いほうが俺の元に駆け寄ってきた。
「大丈夫なのか?」
男はそう尋ねてきた。
年は多分俺と同じか少し上位だろう。
「ここは…どこだ?」
それだけ言うと、俺は再び気絶した。
「どうやら命に別状はないようじゃ」
長老は、いきなり倒れこんだ男をベッドに運び、そう言った。
俺はそれを聞き、改めて男を観察してみた。
ツンツンしたチョコボ頭、いやに整った顔、全てが伝えられたものにあてはまっていた。
「…それで、出発は明日ですか?」
俺はまだ信じられない気持ちを隠し、そう言った。
「うむ。残念ながらチョコボが調達できんかったのでな、すまんが徒歩で行ってくれんか」
だとしたら少々長い道程になる。
早めに支度しておくか。
「分かりました。では、明日の朝にまた伺います。」
俺はそういって退散することにした。
「うむ。明日からに備え今日はゆっくり休め」
長老はそういい、俺を送り出した。 



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