リバース
辺りを見回すと颯爽と茂る草や花、そして樹木。
上を見上げると大量の木々の枝葉が広がっていて、太陽の光りを遮っていた。
とても殺し合いの場には似付かわしくない、長閑な森林だった。…そこで二人は出会った
片方は相手を注意深く警戒し、懐から剣を取り出した。
そしてもう片方は…いきなりその場に座り出した。
「そんなに殺気だって…疲れないか?」
二人の内、先に剣を取り出した方…
銀髪の男、セッツァーはこの盗賊風の男の全く予想外の行動に驚いたようだ。
「…あんた、このゲームに乗ってないのか?」
「…あぁ、さっきからずっとソレを考えていたんだ。
どうしたら良いと思う?」
――この男はどこかおかしかった。剣を出してる相手の前でいきなり座り出すのもそうだが、
殺し合いに乗っているのかと聞かれて…どうしたらいい?だと。
急に笑いが込み上げてきた。
「フフフ…仕方ない、コイツで決めよう。」
そういうとその男は支給されたザックからコインを取り出した。
「フッ…殺し合いの支給品にコインとはな…洒落の効いた主催者だ」
また笑う。しかし、それを遮りその男が続ける。
「表が出たらゲームには乗らない。大人しく過ごすことにする。そして、裏が出たら…」
「このゲームに乗る!!」
―――二人の声が同時に重なった。
そして…コインは勢いよく上空に弾き出された。
キィィィンィィィン…と二人の周囲に金属音が木霊する。その様を静かに見守るセッツァー。
相手に気取られないように、剣を握る手の力を強める。
男はコインを右の手の平でキャッチし、すかさず握り隠した。
「さぁ…おまえはどっちに賭ける?」
右手を高く掲げ、そう問い掛けてくる男。
セッツァーには解っていた。この男は…この状況を楽しんでいることが。
それはセッツァー自信にもその手の危険(スリル)を好むギャンブラーの血が流れていたからだ
「フハハハッ!!…両面“裏”だろ?」
男が、笑った。セッツァーもまた、笑った。
…そして、男の閉じられていた右手が………開かれた!
―――コインが、無いッッッ!?
「…チッ!!…コイツぁーーー一本取られたぜ!」
コインを握った…フリをしてそのまま手の平からコインを滑らし、衣服の中に隠す
――よくある手品…騙し技の一つだ。
まさかギャンブルに精通している筈の自分がこんなものに引っ掛かるとは。
セッツァーはまたもや笑い出した。
いや、笑わずには入られなかった。
「…どうだ。その様子だと楽しんでもらえたようかな?」
どうやらこの男は始めからそのつもりだったらしい。
「あぁ、酒の一杯でも奢ってやりたいくらいさ。」
「ヘヘ…そいつぁー楽しみだぜ。ダンナ!」
いつのまにかセッツァーもその場に座り込み、男と談笑を繰り広げていた。
「ところでアンタ…ジークフリードって言ったか。
前にどっかで俺と会ってないか?」
「!?…そいつは気のせいだよ。うん。絶対。」
「う〜ん、たしかに見覚えがあるんだが…まぁ良いか
…さっきの、俺にもやらしてくれよ」
「おぉ?ったく、ダンナも好きだねェ…ほらよっ!」
そう言って男はまたコインをセッツァーへとトスした。
…そしてソレをセッツァーは馴れた手つきでキャッチし、手を高く掲げた。
「…さぁ、どうなる!?」
そう言って男はセッツァーの手に目線を集中させた。故に気付かなかっのだ。
…セッツァーの醜く釣り上がった口に。
「…裏だ」
【C-6/森林/朝】
【ジークフリート(偽)@FF6】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:コイン以外は不明
[行動方針]:取り敢えずセッツァーと談笑
【セッツァー@FF6】
[状態]:健康
[装備]:アイスブランド
[道具]:不明
[行動方針]:不明
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