「ひっどいヤツだね」
「ひっどいヤツだね、キミってさ。助けるんじゃなかったよ!」
少女は鋭い目つきで青年を見上げる。
瞳には怒りの色が滲んでいたが、幼さの残る造作のせいか、威圧感や迫力は欠片も無い。
だから青年もクスクスと笑ったまま、針のような視線を受け流す。
「ごめんごめん、つい夢中になっちゃってさ」
彼はそう言うと、自分の指についたままだった液体を舌で掬い取る。
肌色に絡みつく赤い舌と湿った音が、何とも淫らな雰囲気を醸し出していて。
それがまた先ほどの光景を思い出させて、少女――アルル・ナジャは顔を赤くする。
「あー、もう……なんでこんなコトしなくちゃいけないのっ!?」
多分、この世界に放り込まれた全員が思っている事だろう。
現に青年も言い返した。
「僕だって聞きたいよ。これでも一応、好きなコがいるんだからね」
「むーっ……」
アルルはむくれたように頬を膨らませる。
そんな彼女に、青年はあくまでも優しげな微笑を浮かべた。
「ま、君がヘンなことする必要はないって。
アッチ方面のことは僕に任せて、悪いオオカミさんや怖いお姉さんを追っ払ったり黙らせてくれればいいよ」
そこまで言った時、不意に、青年の顔に情欲の翳りが差す。
しかしアルルは気付かない。
「そう……さっきみたいに上手く、ね」
青年は歪んだ笑いを浮かべながら、もう一度己の指先を舐めた。
――彼女は風の王国を継ぐ王女だった。そして、誇り高き戦士でもあった。
だから下らぬ遊戯に参加する気はなかったし、魔物の僕となってまで己が欲望を満たそうとする男を許す気もなかった。
一見不可能でも、きっとどこかに脱出方法はあるはずだ。
女性はできる限り説得して仲間に引き入れよう。一生奴隷だなどとふざけた真似を許してはいけない。
だが、自分達を犯そうと企む男どもは……誰であろうと、例えかつての仲間だろうと許さない。
決意とともに、ローラントの王女・リースは歩く。
深い森で、救うべき女性を――あるいは殺すべき男を捜して。
そうしてどれほど歩いただろう?
足が痛くなり始めたころ、どこからともなく声が聞こえた。
「おーい! セルフィー、リノアー、キスティー! ゼル、スコール! どこだよー、いないのかよー!?」
男の声。どうやら誰かを探しているらしい。
リースは息を潜め、耳を頼りに移動する。
しばらくしないうちに、呆気なく声の主は見つかった。
カウボーイハットにコートを羽織った茶髪の青年だった。年齢は自分と同じくらいか。
優男風の顔立ちで、いかにも女誑しっぽい……ホークアイと似た雰囲気を漂わせている
そして背こそ高いが、あまり強そうには見えない。
(――勝てる)
そう判断したリースは、一気に飛び出した。
青年――アーヴァインの視界に金の煌きが映る。
その意味を脳が理解するよりも早く、金髪の少女が自分を突き飛ばしていた。
「うわぁっ!」
避ける間もない。体当たりをまともに喰らい、アーヴァインは地面に組み伏せられる。
振り上げようとした手は、細い足が――見た目に反する力強さで――押さえつけた。
彼の腹の上に腰を下ろしたリースは、白魚のように華奢な手をアーヴァインに伸ばす。
その行為と、彼女の目的を悟ったアーヴァインは、身を捩って逃げようともがく。
「や、止めて! 僕まだ何もしてないだろ!? やだよ、ねぇ、助けてよ!」
だが、リースは足や身体をどけようとはしなかった。
代わりに、涙を浮かべる青年の喉に両手を掛けた。
「あぐっ……っ」
リースはうめく青年を無表情に見下ろしながら、淡々と喋り始める。
「知っていますか?
絞首刑に処された罪人は、死ぬ時に射精を行うらしいですよ。
つまり……人を犯す時と同じぐらいの快感を、死の瞬間に得られるということなのでしょうね」
「っ、あ……たす、け……っ」
何を言いたいかわからぬまま、アーヴァインはひたすら首を横に振る。いやいや、と子供がするように。
リースの目は冷たかった。リリスのように残酷に笑うことすらせず、単調に言葉を続けた。
「貴方も刹那の快楽を求めて、あの化け物に魂を売ったのですよね。
同じような快感を得られるのならば、別にこれでも構わないでしょう?」
『違う! 僕も勝手に連れてこられただけだ!』
叫ぼうとしたが、もはや声は出ない。口を動かすだけで精一杯だ。
それもあと僅かな間だけだろう。
酸素が届かずに白く濁り始めた意識の中で、少女の声が冷酷に響く。
「さようなら」
同時に、手の力が増した。
苦痛とともに視界がホワイトアウトし、全身から何かが抜けていく。
その感覚が奇妙に心地良くて、例えるならば射精した直後の脱力感と陶酔感に似ていて。
ああ、これが『死』なんだ――と、霞んだ頭のどこかが受け入れ、それでもう何も分からなくなった。
どこからともなく響いた『ばよえーん!』という言葉の意味も。
首に掛かっていた力が急に止まった理由も。
『ねぇ、大丈夫!?』。そう言って、誰かが自分の身体を抱え起こしたことすらも――。
「ねぇ、大丈夫?!」
青年は答えない。焦点の合わない視線を向けるだけだ。
喉には手の形に赤い痕が付き、口の端からは涎が一筋零れている。
もしかして……間に合わなくて、死んでしまったのだろうか?
一抹の不安が過ぎり、慌てて手を握る。
脈拍は――あった。
アルルは胸を撫で下ろし、ホッと息をつく。
それから、ぼんやりと虚空を見ているリースに振り向いた。
『ばよえーん』。
なんとも気の抜けるその言葉。実は、幻影を見せて人の心を感動で支配する『魔法』である。
リースは今、美しい花畑の中で感動に酔いしれているのだ。
何かの拍子に術が解けない限り、彼女が誰かに危害を加えることはないだろう。
……多分。うん、きっと。時間制限とかあったっけ? おしえてマスク・ド・サタン。
「う、うう……キミ、は……」
……そんなことを考えている間に、青年が意識を取り戻したようだ。
アルルは向き直り、ぱちぱちと目を瞬かせる彼に話し掛ける。
「ボクはアルル・ナジャ、魔導師だよ。まだ一人前じゃないケドね。
お兄さん、あのお姉さんに何かやったの?」
青年は首を振る。
「いいや。友達、いるかと思って……探してただけだよ……」
「じゃあ、なんで首締められてたの?」
「わかんないけど……なんか、勘違いしてたみたい。
僕だって連れてこられただけなのに……セックスしたいから進んでリリスって奴の配下になったんじゃないか、とか」
セックスという露骨な単語に、アルルは顔を真っ赤にする。
それに気づいたのか、アーヴァインは咳払いをし、アルルから目を逸らした。
その視線が、急に一点に引き寄せられる。
首を傾げるアルルに、アーヴァインは恐る恐る尋ねた。
「あの……彼女、どうしちゃったの?」
ウフフ、アハハー。フラミー、エリオットー、待ってよー。
アーヴァインが指し示したのは、意味不明の言葉を呟き、明後日の方向を見つめ続けるリース。
「あー。あのお姉さんのこと止めようと思って、魔法使っちゃったんだ」
「魔法? あんな擬似魔法見た事ないけど……君、もしかして魔女とか?」
「うん。さっきも言ったでしょ、魔導士だって。ま、ウィッチみたいな魔女とは少し違うケド、似たようなモノだよ」
一応訂正するアルルだが、そんなことはお構い無しの様子で、アーヴァインは感嘆と尊敬の視線を向ける。
「へぇー! リノアやママ先生以外にいないと思ってたのに……偶然ってあるもんだねー!」
(あ、あの……なんかカンチガイしてない?)
アーヴァインの剣幕に、アルルは引きつった笑いを浮かべる。
そんな彼女の手を突然がしっと掴んで、アーヴァインは言った。
「決めた! 僕、君と一緒に行くよ!」
「え!? えええ、え?」
あまりに唐突な展開に、アルルはおたおたと手を振った。
「え、あの、いや、そんな悪い、じゃなくて別に悪くないけど、一体どーして?」
「純粋に恩返ししたいってのもあるけど……
ここで魔女の君に助けてもらったのも、きっと何かの縁だと思うんだ。
それに君、雰囲気がなんとなーく僕の好きな子に似てるしさ」
「え、えーー……」
そう言われると、何だか断り辛い。それに嘘をついている様子もなさそうだ。
「君、エッチ方面のことは苦手なんだろ?
ゲームに乗った女の子に寄ってこられたらどうする?
僕なら少しは応対できるけど、君一人じゃ心細すぎやしないかい?」
「うーん……」
あまりそういうシチュエーションは考えたくないが、ここにいる限りいずれはそういう目に合うことは間違いない。
悩みぬいた末、アルルはゆっくりと首を縦に振った。
その返事に、アーヴァインは笑いながら手を差し出す。
「僕はアーヴァイン。アービンでいいよ。
よろしくね、アルル」
「こっちこそよろしく、アービン」
そうして恐ろしく身長差のある二人組のパーティは、仲良く手を繋いで森を歩き出し――たのだが。
ふと、何かを思い出したかのように、アーヴァインが振り返った。
「どしたの?」
怪訝な表情で、アルルが問い掛ける。
アーヴァインは事もなげに答えた。
「うん、ちょっとお仕置きしとこうと思ってさ。こういう危ない人、野放しにしたくないし」
「……へ?」
きょとんとするアルルを余所に、アーヴァインはお花畑状態のリースに近づく。
そして彼女のザックを覗き込み、何か『イイモノを見つけた』と言わんばかりに満足げに笑った。
「な、何するの?」
問い掛けるアルルの声にも答えない。
代わりに、彼はリースの服を掴むと――力任せに引き摺り降ろした。
肩当を外し、薄手の生地で出来た下着をビリビリと破り、パンツさえも奪い取る。
そしてただの布キレとなってしまった服で彼女の腕を縛りあげてから、立ち竦むアルルに向き直って微笑んだ。
「悪いけど、しばらく耳塞いであっち向いててくれる?
見てても別に構わないけど……こーゆーことって苦手でしょ」
「こ、こーゆーコトって……」
アルルはうろたえる。
こーゆーことっていうことは、つまりソレでアレでコレなことなんだよね?
そんな風に聞き返そうとしたが、アーヴァインはもうアルルに意識を向けてはいなかった。
うっとりと夢を見ているリースの胸に手を触れ、柔らかな唇に自分のそれを重ねる。
そして『くちゅ』という音を立てながら、舌を差し入れた。
唐突な違和感に夢の世界から引き戻されたか、リースの目が焦点を結び始める。
構わずに、アーヴァインは彼女の口を犯し続けた。
歯の裏側を舐め、彼女の舌に絡ませ、溢れ出して混じり合った唾液を吸うように飲み込む。
「……ッ!」
完全に意識を取り戻したリースが舌を噛み切ろうとする前に、アーヴァインは素早く口を離した。
そしてわざとらしく唇を舐めてから、意地悪く囁く。
「目、潤んでるよ。もしかして気持ちよかったとか?」
「誰がっ……! 離しなさい、この獣! 私に近寄らないで!」
掴みかかろうとするが、手首を縛りつけた布が許さない。
二人の立場は完全に逆転していた。
「やだよーだ。こっちも殺されかけたんだし、その分愉しませてもらわないとねー」
くすっと笑って、彼は小さな胸の突起を摘み上げる。
捏ねまわすようにねじり、引っ張って、指で押さえつける。
「うっ……あ……っ」
痛みと屈辱に、リースは歯を食いしばる。
その首筋を、赤い舌が蛞蝓のように這う。
くすぐったく、むずがゆい感触。胸から走る奇妙な感覚。
出そうになる声を喉で止め、彼女はアーヴァインから逃れようと必死で身をくねらせる。
「そんな嫌がらなくてもいいじゃん。
大人しくしてたら、優しくしてあげるよ?」
「ふざけ、ないで……!」
ギリギリと歯を噛みしめながら、リースは殺気を込めた視線でアーヴァインを睨みつけた。
アーヴァインはやれやれと肩を竦める。
「そう……じゃ、仕方ないな」
呟いて、彼はリース自身のザックから取り出した物体を彼女の目の前にかざした。
細長い置物のような物体。アクリルか何かで出来ているのだろうか、ガラスのような透明感を備えている。
「これ、なーんだ」
「……ガラスの置物でしょう?」
怪訝な表情で見たままを答えるリース。
ある意味予想通りだった答えに、アーヴァインはニヤニヤと笑う。
「外れ〜。これはね、こーやって使うの」
そう言うと、彼は突然リースの口に『ガラスの置物』を突っ込んだ。
「ふむっ!? あふ、ぅっ!」
「よ〜くしゃぶった方がいいよ? 後で痛い思いするの自分だしさ」
じたばたともがくリースの耳元で、アーヴァインが囁く。
その言葉の意味は理解できなかったが、リースの口は勝手に涎を零し、『置物』を十分過ぎるほどに濡らしていた。
頃合と見たアーヴァインは『置物』を引き抜き、彼女の頬にキスをする。
「じゃ、正しい使い方教えてあげる。奴隷になっても困らないようにね」
彼は情欲に歪んだ微笑みを浮かべ――『ガラスの置物』――もといディルドを彼女の秘所に押し入れた。
「――っ!」
鈍い痛みに、リースは背中をのけぞらせる。
アーヴァインは右手でディルドを動かしながら、左手でその上の突起を弄てあそぶ。
ぴちゃっ、くちゅっ……くちゅ。
淫らな音が膣内から響き、その度にリースが上半身を捩る。
「い、やっ……やめ、て……」
「なんで? こんなに濡れてるじゃん」
ディルドを伝わって滴り落ちる、唾液とは明らかに違うしずくを掬い取り、涙を浮かべる彼女に見せつける。
「電動でもないコケシ、こんなところに突っ込まれてよがってるのにさぁ……イヤも止めてもないよね〜?
素直になったほうがいいよ? 気持ちいいってこと認めてさぁ」
くすくすと笑いながらその雫を舐めると、アーヴァインは再び秘所の愛撫を始めた。
ディルドを膣内に突っ込んだまま、包皮のかぶさったそれをさする。
唾液と愛液で濡れた指先でつつき、縦にこすり、円を描くように転がし、尿道の辺りを攻める。
「あ……うあっ、はぁ……ああっ……!」
背筋を走る電流のような快感に、いつしかリースは言葉を失い、嬌声を上げていた。
「あんた意外と淫乱だったんだね。
フツー、慣れない子だとクリトリス弄ってもこんなにならないんだけど……
こんな恥ずかしいところ、誰かに触って弄ってもらってるの? それとも自分で練習してたとか?」
「や、ぁっ……ちが……」
もはや首を振るだけの気力もないのか。リースはそう言うだけで、逃れようともしない。
あるいは絶頂が近くて、何も耳に入らないのか――
その可能性に気付いたアーヴァインは、ディルドを引き抜き、手の動きをぴたりと止めた。
「……あ……?」
一瞬何が起きたのかわからない様子で、リースはアーヴァインを見上げる。
「続けてほしい?」
アーヴァインの言葉に、リースは目を潤ませるだけで反応を返さない。
だが、やがて何かを思い出したかのように首を縦に振り――すぐ、横に振りなおした。
「そっか」
一人得心したように頷いて、アーヴァインは彼女の身体に手を伸ばす。
美しくすらりと伸びた両足、それを掴んで持ち上げた。
花びらに包まれた赤い柔肉が広げられる。
にじみ出る蜜は透明な筋になって、ぽたりと地面に落ちる。
「な、何……するの……?」
恐怖と怒りと――ほんのわずかな期待を混ぜ合わせた瞳が、アーヴァインを捉える。
「んー。せっかくだから」
ディルドを膣の入り口に近づけ、そっと滑らせる。それよりもさらに後ろへと。
そして、ある一点で止まった。
「……!!」
何をされるか理解したリースは、目を見開く。
その視界の向こうでアーヴァインはまた歪んだ笑いを浮かべ、
リースの菊門に、濡れたディルドを突き刺した。
「いやぁあああああああああーーーっ!!」
絶叫も、涙も、もはや彼を止める手段にはならない。
「痛かったらごめんねー」
ピントの外れた気遣いの言葉を掛けながら、彼は自分のズボンのチャックを外す。
勃起しきっていたペニスは、下着を弾き飛ばすかのように外に飛び出した。
そして彼は、そそり立つ肉の棒をゆっくりと彼女の中に入れる。
茂みや花びらを掻き分けながら、愛液を滴らせる場所へと。
「あふっ……やぁ、いやぁ、あっ……」
二度目の衝撃に、リースは背中をのけぞらせながら嬌声を上げる。
「やっぱさ、一人だけ愉しむのって何かずるいし……んっ、僕も、少しは気持ちよくなりたいしね……」
ピストン運動をしながら、彼は開いた手で細長い作り物の性器を動かした。
膣越しにディルドの動きが伝わり、同時に締め付けが激しくなる。
精液を絞り出そうとするかのような動き。それなりに場数を踏んだアーヴァインでもきついと感じるほどの刺激。
「っ……中々の名器じゃん、淫乱お嬢さん。
残念だな。……はぁ、っ……これっきりだ、なんて、さ……っ」
「あ、はぁ……あんっ、くふっ……」
二箇所を同時に責められることで湧き出す痛みと、それに比例する快感の波。
その前に、リースの正気は呆気なく失われていた。
激痛から逃れようというのか、脳をとろかすような快感をさらに高めようというのか、ほとんど本能的に腰を振る。
アーヴァインも、もう声を掛ける余裕はなかった。
「ん……はぁっ、や、べ……出、そう……」
中出ししていいのか? 子供生まれちゃったらどうする? そんな考えが一瞬頭を過ぎる。
しかし気付いた。これはそういうゲームで、敗者の運命はどのみち一つなのだと。
(悪く思わないでよ……)
気付いたからには躊躇はしない。
本能が導くままに、きつく締め付けるその中で、愛液に濡れた己自身を動かし続ける。
胸に吸い付き、乳首を嬲り、口中を犯す。
やがて、唐突にリースの身体がびくんと震えた。
「あ、あ、あぁあああああぁぁぁ……!!!」
びくびくとのけぞる身体に合わせ、膣内の筋肉がアーヴァインを締め付け、吸い出すように動く。
その刺激が生み出す快楽には、彼も一秒と持たなかった。
「う、……ぁああああああああぁぁぁ!!」
脳を突き抜ける快感とともに、ペニスが脈動する。
若さゆえに量の多い精液は、リースの中で弾け、それでも止まらずに割れ目を伝わって地面へ吸い込まれる。
そして――射精に余韻に浸るアーヴァインの前で、リースの身体は蝙蝠に包まれ、消えた。
「あー、もう! ひっどいヤツだよ、キミってさ!」
アルルはため息をつく。さっきからずっとこの繰り返しだ。
「そこまで言うなら、空でも森でも見てればよかったのに。一応断ったじゃん」
「そりゃそうだけど……あんな風に言われたら見たくなっちゃうよ
ボクだって女の子だしさ」
そう言って、またため息をつく。
最も――見たと言っても最初だけだ。
せいぜい例のガラスの置物が出てきた辺りまでで、その先は覚えていない。
あんまり刺激が強すぎて『ばたんきゅ〜』してしまったようだ。気がついたら、きちんと服を着たアーヴァインが自分の名を呼んでいた。
「ま、君にはコッチ方面の才能はないってことだね。
胸ぺったんこだし」
「そんなミョーな才能いらないよ! ……胸はちょっちほしいケドさ」
言い合いをしながら、アルルは空を見上げる。
何だかよくわかんないうちに巻き込まれたとんでもなくエッチな戦いと、何だかよくわかんないうちに出来た仲間(?)。
魔導士アルルの試練は――まだまだ始まったばかりのようだ。
名前 アルル 【ぷよぷよ】
行動目的 まだ未定。とりあえず殺したりエッチしたりはイヤ。
所持品 不明
現在位置 アリアハン城北の森
名前 アーヴァイン 【FF8】
行動目的 アルルについていく。ヤる気や殺る気の女の子は遠慮なくいただく。
所持品 置物っぽいディルド
現在位置 アリアハン城北の森
【リース(聖剣伝説3) 脱落】
前話
目次
次話