エピローグからプロローグへ。
小柄な少女。
この単語を聞けば、何となく萌える要素があるように感じるだろう。
古来から小柄な少女というのは、可愛らしさを感じるものである。
しかし、中にはそういったのとは微妙に一線を画す者もいないわけではない。
もちろん、ビジュアルが劣っているわけではない。
むしろ、彼女はビジュアルでは平均を大きく上回っている。
それなのに……それは彼女の、蟹沢きぬのキャラクターにも問題があるのではあるが。
「うおーーーっっっ!!!あのアニメキャラ何なんだよ。こんなキュートなボクに殺し合いなんて……ありえないじゃん。
だってボク……乙女だよ。乙女が殺し合いなんて……きゃっってあー騒いだら疲れた。全く、どうしてボクが………
まあいいや。レオもスバルもついでにフカヒレもいるし、誰か見つけてボクを守ってもらおう。でもうーん、出来ればレオか
スバルがいいな。フカヒレじゃ姫を守るナイトって柄じゃないし」
蟹沢きぬは一人で騒いでいる。
彼女もどちらかというと姫というタイプではないのだが、それを突っ込む人は今は誰もいない。
ツッコミ不在の一人ボケを続けながら一人で歩き続けるのだ。
そして、しばし歩き続け、遂にきぬはある人物と邂逅する。
「きゃっ、……女の子?」
「誰が女の子だよ。ボクの方が多分年上だよ!!」
不意に遭遇したのは、きぬよりは少し身長はあるかというぐらいのやはり小柄な少女。
小奇麗なドレスに身を包んではいるが、顔つきはきぬと比べるとどことなく幼い。
(なんだ女の子か。男だったらボクの魅力でメロメロにしてボディガードに出来るけど……この子じゃ無理だね。むしろボクの
邪魔になりそうだ。ボクは守られるのはいいけど守るのは嫌だし、さっさと一人で行こうっと)
きぬは内心でそう考え、さっさと踵を返す。
「まあいいや。ボクは人を探してるから、一人で行くね。じゃあバイバイ」
「……待ってください。あの……お兄ちゃん。香月恭介って人を見ませんでしたか?」
「見てないよ。まだだれとも。じゃあバイバイ」
きぬはそのまま少女に背を向けて歩き続ける。
だがしかし……それは叶わない。
「……そうなんだ。じゃあいいや。さようなら」
「!?」
少女の声は全く変わらない。
だが、きぬは背中が熱く感じられる。
いや、本当に熱いのだ。
「………えっ、なっ……なに?」
「殺し合いだからね。お兄ちゃんを知らないなら用はないよ。バイバイ、おかしな髪型のお姉ちゃん」
「っ!」
そこできぬはようやく気付いた。
背後の少女が後ろからナイフで刺した事に。
最も気付いた時にはナイフは捻りを咥えられながら引き抜かれ、内臓を深く破壊しながら大量の出血をしていたのだが。
「おっ、お前ボクを……」
「そうだよ。私とお兄ちゃん以外、皆いなくなっちゃえばいいんだから。これは………狩りなんだからね」
「ふっ、ふざけ……」
「まだしゃべれるんだ。うるさいなあ」
「がっ」
少女はなおもしゃべり続けるきぬの脳天にナイフを突き立てる。
それで終わり。
少女は殺した者を遺体など無視して、遺体の持ち物だったデイバッグを拾い上げる。
そしてバッグから出てきた銃を左手に持ちながら、一人呟く。
「……ああもうっ。汚い血で汚れちゃった。街にいけば着替えあるかな……」
全くいつもと同じペース。
殺した事などまるで意識しないまま、少女は町へと歩を進める。
【C-07 森 一日目 深夜】
【香月ちはや@鎖-クサリ-】
[状態]:健康 服が血まみれ
[装備]:サバイバルナイフ コルトパイソン@Phantom -PHANTOM OF INFERNO-
[道具]:支給品一式×2 ランダムアイテム0〜4(確認済)
[思考]
基本:香月恭介以外を皆殺し
1:とりあえず街に行って着替えを探す。
2:恭介を探す
[備考]
ちはやエンド後からの参戦です。
【蟹沢きぬ 死亡】
【残り99人】
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