待つ二人






教会とは、基本的に祈りをささげる場所である。
将来を誓い合う二人の儀式であっても、死者を弔うのであっても、祈るという行為、それ自体は共通である。
そして、今教会には一人の女性が、祭壇で祈りをささげている。
それは何の願いか、それは本人以外には分からないだろう。

暫らく時間が経つ。
やがて、女性は祭壇での祈りを終え、手前の長いすに座ろうと歩き始める。
そして、丁度そのタイミングで教会の扉が開く。

「あら、ミサはやっていませんよ」
「知ってる。まさか神父がいるとは思っていないさ。ただ………そうだな、せっかくだから祈っておこう」
「そうですか」

入ってきたのは全体的にどこか鋭いような印象を受ける若い男性。制服だが、微妙に左右にズレがあり、恐らく
内ポケットには拳銃を忍ばせているのが分かる。
しかし女性はそれに、特別な意識を向けることなく、椅子に座る。

「………」
「………」

男性が祭壇で祈りをささげる間、女性も一言も口を聞かない。
静寂が教会を支配した。

「………」
「………」

再びの沈黙。
それは男性の祈りが終わり、女性とは反対側の長いすに座ってからも続く。

だが、それはやがて打ち切られる。

「君は………いつまでここにいるつもりなんだ」
「さあ、とりあえずあの人形さんがいっていた、禁止エリアにここがなるまではいるつもりです」
「……どうしてだ?」
「さあ、名前も名乗らない人に教える義理はありませんよ」
「そうか………なら一応名乗っておく、吾妻玲二だ」
「雨宮優子です」

玲二が名乗ったので、優子もノータイムで名乗り返す。
玲二はしばし沈黙したが、すぐに切り替えて質問を続ける。

「それで……どうしていつまでここに居るんだ」
「人を待ってるからです」
「人を?」
「ええ。来るはずだったんですけど、色々あって結局……でも教会で待ち合わせしてたので、彼が来るとしたらここですから」
「そうか」
「……それだけですか?」
「えっ?」
「えっ?じゃないですよ。私が話したんですから、貴方の方も教えてください。貴方はここにいつまでいるつもりか」
「俺も同じだ。エレンを……人を待っている。あいつは暇があれば教会にいたからな。ここなら来ると考えている」
「そうですか」
「ああ、それに………ここなら襲撃があっても、対処しやすいからな」
「そうですか」
「そうだ。入り口は限定され、外からでは狙撃はおろか、中の様子の確認すら難しい。この中にいる人間を襲うには、
中に入るしかない。無論、手榴弾を投げる恐れはあるが、物が多いここでは椅子の下に潜めば傷は負わない」
「へえ、意外と考えているんですね。でも、もし私が敵だったらどうするんですか」
「殺意があるかぐらいは、ある程度は読める。それに、仮に攻撃してきても、対処の自信はある」
「凄い自信ですね」
「……試すか」
「とんでもない。むしろ敵が来たら守ってほしいぐらいです」
「……ああ。俺の安全な範囲でなら問題はない」
「うわあ。あっさりですね」
「問題か」
「いいえ。感謝しますよ」

優子と玲二は一度話せば、テンポ良く話が進む。
教会は静か。
しかし、二人の話し声だけは小さく響く。

【F-09 教会 一日目 深夜】

【雨宮優子@ef - a fairy tale of the two.】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 ランダムアイテム1〜3(未確認)
[思考]
基本:火村夕との再会。
1:火村夕が来るまでここで待つ。禁止エリアになるまで待ち続ける。

[備考]
最終章、火村夕が教会に行く直前からの参加です。
幽霊ですが、生き返っての参加です。
名簿は確認しましたが、火村夕の名前が真っ先に目に入り、他の名前を確認していません。


【吾妻玲二@Phantom -PHANTOM OF INFERNO-】
[状態]:健康
[装備]:拳銃(詳細は不明)
[道具]:支給品一式 ランダムアイテム0〜2(確認済)
[思考]
基本:エレンと合流
1:とりあえずエレンが来るのを待つ。
2:現時点では優勝を狙うつもりは無い。

[備考]
三章、ドライと出会う直前からの参加です
名簿は確認済です。



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