無題
中田ごうじ【男子16番】が受け取ったのはB4サイズほどの木箱だった。
空けてみると赤い生地の中に、形どうりに拳銃とマガジンと弾丸が収まっている。
その鈍く銀色に光る拳銃には見覚えがあった。
『これはよく映画の主人公とかが使っている銃(ベレッタM92FS・アイノックス)だ…』
『この状況』は確かに恐ろしいが、少し勇気が沸いてきたような気がした。
自分は『正しい側』にいる、と思えた。
だから――
「…そうだ、おんぷちゃんを守ってあげよう。ボクがおんぷちゃんを守るんだ…!」と思い立った。
そこまで思ってから初めて銃を握ってみた。…握りづらかった。
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