無題






木々とともに、夜のとばりにも包まれてしまった。
こんなに探してやっているのに、どれみは見つからない。
「…どれみのばか…」 うなだれて歩いた。

遠くで、何か花火のような音が聞こえる。鳥の羽音が不安を煽る。
ひときわ大きな木を見つけると、その根元に腰を下ろした。
不思議と落ち着いた気持ちになる。
幹に耳を当てると、中を通る水の音が聞こえような気がする…

その場で巻機山 花【女子24番】は1日目の夜を過ごした。



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